全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。
Experimentersでは、そんなコロナ禍を海外で過ごすことになった、EIL高校生交換留学プログラム派遣生たちの体験談に加え、海外で生活をしているOB/OGからのレポートもお届けします。
高校生交換留学プログラムを経験し、それぞれの事情から海外で生活するOBOG達。
お子さんがいる方たちも多く、海外のコロナ禍における子育てという視点も興味深いのではないでしょうか。
ぜひ、派遣生とはまた異なる視点による各国のコロナ禍における暮らしの様子を読んでいただければと思います。
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今回は、カンボジア在住の樋口 麻美さん(2010年オーストラリア派遣、大阪府出身)からの報告です。
■滞在地域と在住歴
2020年1月からカンボジアの首都プノンペンに在住し、8ヶ月が経ちました。
大学在学中にも休学し、2017年〜2018年まで1年間カンボジアに居住していました。
■滞在地域のコロナに対する変化
<最近のコロナ状況>
現時点(2020年8月31日)では、国内感染者0名で、1ヶ月に30名ほどカンボジアに入国する人で陽性者が確認されています。
<コロナの変遷>
日本など複数国で入港できなかったクルーズ船「ウエステルダム号」の寄港を認め、2月14日に乗客の下船がプノンペンから230kmほど離れた港町シハヌークビルで始まりました。ウエステルダム号には少なくとも1人のコロナ感染者が確認されていたことから世界中で入港拒否されていました。これを機にカンボジア中で新型コロナについて、一気に情報がFacebookを通じて全国に広まりました。しかし、2月時点ではまだ国内感染者も発見されていなかったので、警戒体制は低くマスクなども着用していませんでした。
3月中旬から1日での感染者数が5人〜12人になり、感染者数が最多になったのは3月23日の31名でした。
その後は、緩やかに減少し4月13日を機に国内感染者は0名となりました。
<現地の様子>
・1月〜2月
カンボジア国内では全くコロナのニュースや感染対策はなく、私自身ウエステルダム号の寄港のニュースを日本メディアで知ってカンボジアでコロナのことを気にかけ始めました。
・3月
2月にウエステルダム号の乗客がプノンペンで滞在をしたことをきっかけに、3月中旬から徐々に市内でもマスクを着用する人が増えたり、コロナを話題にする人が増えたりしました。
(写真)マスクの販売価格(50枚で26$USD)
・4月
4月に入ると大きなショッピングモールや有名なお店はマスクの着用を義務付けと検温チェック、アルコール消毒を徹底し始めました。徐々に対面で打ち合わせを行う人も減り、オンライン(ZOOM)を使って打ち合わせをするようになりました。4月末にあるクメール(カンボジア)正月も人の移動を防ぐ目的で長期休暇を短縮する施策も行われました。
(写真左)スーパー入店前に手洗い、消毒、検温、マスク着用が義務付けられている様子
(写真右)1番使う移動手段のトゥクトゥクと、ドライバーさんが自主的に備え付けたアルコール消毒
・5月
5月上旬は国内感染者はいないものの警戒をしている人が多かったです。4月から短縮営業や、在宅勤務、閉業が増え、首都にいる人が地方に戻り始めたので5月は首都でも人が少なく、渋滞も起きないくらいでした。
(写真左)路面店の飲食店で栄えていた道路が閑散としている様子
(写真右)プノンペンの大動脈とも言えるメイン道路が閑散としている様子
・6月
国内感染者が発見されなくなって2週間を過ぎたころ(5月末)から徐々に営業を開始する動きが見え、6月から活気を取り戻し始めました。地方への移動も解禁され、週末にはカンボジア国内で旅行をする人が増えました。
・7月
ほぼアフターコロナと言っていいほど、市内の様子は活気に溢れ始めました。観光業が盛んだったので、その点経済への影響は大きかったですが、人の動きや消費活動は元に戻りました。
■コロナ禍で、その国の国民性を感じたこと
<決断力と実行が早い>
カンボジアは長年、独裁国家であることからも政府のコロナ対策における判断と実行のスピードはとても早かったです。発表されて翌日には施行されるものがほとんどで、人が集まる場所の営業停止、学校の休校、地方への移動禁止など密を防ぐ施策がたくさん実行されました。
政府だけでなく、カンボジア人が代表を務める現地企業やNGOなども自主的に在宅勤務を取り入れたり、短縮営業をしたりと従業員の安全を最優先に考える国民性を感じました。
<危機意識がとても高い>
4月5月は1番警戒心が高まっていて、どんな小さいお店でもマスク着用が義務付けられたり、お客さんが入店しないように店先で購入をするようにしたり、飲食店もソーシャルディスタンスを取ったり、自主的に対策をしている人がとても多かったです。
カンボジア人の友人に理由を聞くと、カンボジアでは医療環境が整っていないため、人口が少ない中で感染が広まったら国が崩壊するって言ってました。それくらい、危機意識が高いのだなと感心しました。
(写真左)地元の商店がロープ貼って入店させないようにする施策
(写真右)地元の生鮮食品を販売するマーケットのソーシャルディスタンス施策
■滞在国と日本の政策を比較して感じること
<徹底力>
日本は色んな法規制があり、営業禁止や外出禁止を政府が命じることができない一方で、カンボジアは独裁国家であるため鶴の一声で全てが即決されます。その判断に対しての徹底ぶりも凄いと思うところで、学校機関や地方間の移動など、違反する人がいれば罰則を与える施策も行われていました。
■生活の変化
これまでに記載した通りですが、所感としては広まる!となる前に国民が一丸となって対策をし、自主的に外出を減らしたり、マスクの着用・アルコール消毒を徹底したので、6月には収束できたのかなと思ってます。
私自身の生活の変化は、あまりなかったです。今は友人と起業して事業を行っているので、密になることがなく出社して仕事を行なっていました。唯一の変化としては、現地企業との打ち合わせは対面を防ぐためにオンライン化されたことくらいです。
■アジア人に対する差別等は感じた?
アジア人に対する差別は、ほとんどなかったです。一部、在住者であっても日本人であるため日本からきたと勘違いされて警戒をされることはあったが、直接的に何かを言われたり、何かをされたりっていうことはありませんでした。
■最後に・・・
記事を最後まで読んでくださってありがとうございます。
他の地域でのコロナの状況と比較しながらみると、それぞれの国で全然違う状況だったことがわかってとても面白いので、ぜひ他の方の記事と比較してみてみることをおすすめします!
最後に、私の自己紹介を簡単にさせていただきます。
幼少期にアメリカ、南アフリカ、オーストラリアに居住していた転勤族で、高校でオーストラリアに留学しました。その後、大学でカンボジアに初めて訪れて、現地のエネルギー溢れる雰囲気に魅了され現在に至ります。
今は、SDGsに取り組む日本企業様と東南アジア企業/NGOのマッチングを通じて、日本企業様の事業支援を行う「ソーシャルマッチ for SDGs」を展開する株式会社valueの取締役をになっています。
現在、展開している国はカンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、インドネシアでこれらASEAN地域でビジネスをしたいと思っている方もしくは、周りでSDGsを事業に取り入れたいという方がいらっしゃったらお気軽にご連絡ください。
Facebookからお気軽にメッセージ頂けると嬉しいです!
どうぞ、よろしくお願いいたします。
<ソーシャルマッチ for SDGsについて>
〜世界の社会問題をビジネスマッチングにより解決する〜
ウェブサイト:https://socialmatch.co.jp/
(写真・文/2010年オーストラリア派遣 樋口麻美/カンボジア在住)
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