できないから逃げず、道を探した10 か月 北山千裕(2010年カナダ派遣)
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更新日:10 時間前
これまでに数多くの人たちが高校生交換留学プログラムに参加してきました。OB/OGたちの進路やキャリアは多岐に渡っており、それぞれの分野で活躍し、社会に貢献しています。
今回インタビューを行ったのは、2010年にカナダ派遣プログラムに参加された北山千裕さんです。北山さんは地方自治体にて教育行政に携わっていらっしゃいます。今回、北山さんに高校時代の留学経験がどのようにその後の歩みに影響を与えたのか伺いました。

交換留学に参加しようと思ったきっかけを教えてください
小学校の時の友人が、中学からインターナショナルに進学しました。中学に入ってからもその子と会う機会があったのですが、どんどん英語を話せるようになっていく様子が見てとれ、感心しましたし、憧れるようになり、自分も高校生になったら留学したいと考えるようになりました。
そのため、高校受験の際には、進学先を決めるにあたって留学で単位を認めてくれる高校を探しました。留学に理解のある高校に進学したのですが、実際にはその学校から留学する子は全くいませんでした。とはいえ自分の留学したい気持ちは変わらなかったので、交換留学に参加することを決めました。
派遣国にカナダを選んだ理由はなんですか?
「英語を話せるようになりたい」という出発点があったので英語圏への留学は当初から決めていました。正直、当時の私の英語力ではアメリカに行けるほどのスコアが取れませんでした。また、親への経済的な負担を考え、当時はまだ参加費用が安価だったカナダへの派遣プログラムを選択しました。つまり誤解を恐れずに言えば、カナダを留学先に選んだのは、カナダ自体に魅力を感じたというよりは、語学力と経済的な側面からです。
高校留学で苦労したこと・大変だったことはなんでしたか?
色々ありますが、主に2つ苦労した点があります。
1つ目は、語学力、いわゆる言語の壁です、私は公立の小中出身で、今の教育とは異なり、座学中心の英語の授業を受けて育ってきました。ALTの先生は月に1度くるかどうか。特に学外で英語学習をしていたわけでもないので、スピーキングの経験がゼロに近い状態で留学に出発することになりました。
「これはまずいかもしれない」と感じたのは事前研修中です。一緒に研修を受けた仲間には、英語を流暢に話せる子もいて、その差を自覚することになりました。実際に現地の学校に通い始め、初日は授業がまったく理解できませんでしたし、筆記体で書かれた黒板の文字は読み取れませんでした。当然友だちもいないわけですから、いきなり壁にぶつかることになりました。
現地の生徒と同じように出される宿題にも膨大な時間が取られました。当時はインターネットは既に普及していましたが、スマートフォンはなかったので、調べるのにも時間がかかりました。とにかく毎回授業後に先生のところに行って、個別に授業の振り返りや補習をお願いしたり、宿題の量や内容について交渉して調整してもらったりしました。
2つ目は会話の違いです。私は元々よくしゃべる方でしたが、日本にいた頃の友だちや家族との会話で意見を聞かれることはあまりありませんでした。留学中、例えば報道されているニュースに対して「千裕はどう思う?」と聞かれたり、授業でも、家庭でも、友だちとの会話でも、意見を聞かれました。私がどういう考えを持っている人なのかを知るために、言語化を求められてると感じました。そうすると、「あれ?今まで私考えてなかったな」ということに気付かされました。ニュースを見ても、「世の中でこういうことが起きているんだな」と情報を右から左に流していただけで、それに対して考え、第三者に伝えるということをしてきていませんでした。
考えを問われ続けるので、とにかく考えるようになりました。考えて、それを英語で伝えるためにとにかくメモを取るようになりました。メモはいわゆるネタ帳のような感じで、何か聞かれたら答えられるように準備していました。
高校留学で一番思い出に残っていることはなんですか?
私の留学中に東日本大震災が発生しました。朝起きたら、テレビで被害の映像が流れていました。当初は日本で起きたということしか報道されておらず、具体的にどの地域で起きていることなのかもわからず、ひどく不安になりました。当時はスマートフォンもありませんし、家族にとりあえずメールを送ったことを覚えています。
その日の朝は、現地の友人が家まで迎えに来てくれて「大丈夫?」と気遣ってくれました。学校到着後もみんながハグしてくれて、人の温かさに触れました。
震災後、「日本のために何かしたい、何かできることはないか」と考え、ホストスクールの先生に相談して募金活動を行いました。校内放送で呼びかけたり、全クラスを回ったり、地域のイベントでもブースを設置したりしました。日本から遠く離れた場所で、日本ともそれほど触れ合ってこなかっただろう多くの人が協力してくれ、ここでも人の温かさに触れる機会となりました。
帰国から大学進学までの進路選択について
私は関西学院大学に進学したいという気持ちが中学生の頃からあり、高校の選択においても、関西学院大学への指定校推薦枠が多いことを重視しました。ところが、入学してから留学する生徒は指定校推薦が使えないということが判明し、AO入試(現総合型選抜)を利用することを決めて留学に参加しました。ですので、留学中もAO入試に使えるネタを集めることを意識していました。留学中にオンタリオ州のバドミントンの大会で優勝して新聞に載ったので、それを取っておいたり、帰国直後に英語資格試験を受検できるように、帰国前に母が試験の申し込みをしてくれたりしました。
留学を終えて帰国したのは7月頭で、AO入試は9月だったので、2か月で怒涛の勢いで準備をし、無事合格をいただきました。正直、母の協力なしには叶えられなかったと思います。
大学在学中のOBOG活動について教えてください
大学進学後、高校留学のOBOG活動に参加するようになりました。元々留学の出発前のオリエンテーションに参加した際、協力していたOBOGの方々が、それほど自分と年齢が変わらないはずなのに、「大人だな」「あんな風になりたいな」と憧れを抱いていました。帰国後、出発前に出会った友人たちと再会し、誘われたこともあって、出発前のオリエンテーションでOBOGの中心となって動く役割を担うことになりました。
自分の留学は終わっているわけですが、これから留学する子たちのオリエンテーションに関わるということは、留学前に行ったアクティビティを、留学後にも行うことで、書き出すことや感じること、考えることの内容の変化を目の当たりにし、留学を通じた自分の成長を確認できる機会になりましたし、留学経験を振り返ったり深めることに繋がりました。
大学に入学し、1年生の間には公務員試験を受けることを決め、勉強を少しずつ開始していた関係もあって、大学ではサークル活動に参加せず、OBOG活動と勉強に集中しました。自分が楽しむだけではなく、何か人の役に立ちたいという気持ちがあったので、そういう点でOBOG活動は私の希望に適していた活動だったと言えます。
これまでのキャリア変遷について教えてください
前述した通り、大学の早い段階から地方公務員を目指して公務員試験を受験すること決めていました。私が進学した関西学院大学の国際学部では留学が必須でしたので、2年生の時に4か月ほどまた留学しましたが、帰国後は予備校に通って試験勉強に勤しみました。
無事に試験に合格し、入庁した後は教育行政に配属され、もう10年が経とうとしています。事務職ですので、教育現場(学校)に出ることはありませんが、子どもと教職員を支える裏方として様々な企画・手配・精算などの手続きに携わっています。
自分が立ち上げから関わった企画が実現する際には、学校現場でその様子を確認することがありますが、間近で子どもたちの反応を見る機会になるので、やりがいを感じています。
高校留学の経験は今の自分に、どのように影響を与えていますか?
留学中は楽しいことばかりではありませんでした。必死に過ごしましたし、しんどいと感じるようなこともありました。そうしたことを1人で乗り越えました。その時間の分だけ、メンタルが強くなっているように思います。何か大変な事態に直面しても、「あれを乗り越えられたから大丈夫」「もっと私は強いはず」と思えることは私の強みになっていると感じます。
また、高校生という時期に家族から離れて暮らした経験は、家族のありがたみに気付くことになりました。「自分のことは自分で」という留学生活では、自分でやらなくてはいけないことが増えました。これまで色々なことを家族に頼っていたことに高校生で気づけたことは大きなことでした。
留学から帰国してから、それまでよりも感謝を言葉にして伝えられるようになりました。また、留学に送り出してくれた母には特に感謝し、その分恩返しをしたい、旅行に連れて行ってあげたい、と考えるようになりました。
留学を考えている高校生へのメッセージをお願いします
この文章を読んでいるということは、高校留学が気になっているということだと思います。そしてそのチャンスをつかもうかどうか、という段階ではないでしょうか。きっと不安もあると思います。その不安を持ったまま留学に挑戦するのでもいいと私は思います。行ってみて、失敗してもいいんです。うまくいっても、いかなくても、その経験を得らえるのは行った人だけ。何も挑戦しなかったら、何の経験も得られないのですから。なので、不安でもいい、失敗してもいい、そんな気持ちで挑戦してみて欲しいですね。
北山千裕さんプロフィール
京都府出身。
花園高等学校2 年時の2010 年夏からカナダへ留学。帰国後3 年次に復学し、関西学院大学国際学部に入学。同大学卒業後、2016 年4 月に地方自治体に入庁以来教育行政に携わり、現在に至る。

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