~OB/OGが見たコロナ禍の世界~第3回 ドイツ在住 Y.Kさん

最終更新: 8月17日

全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。

Experimentersでは、そんなコロナ禍を海外で過ごすことになった、EIL高校生交換留学プログラム派遣生たちの体験談に加え、海外で生活をしているOB/OGからのレポートもお届けします。


高校生交換留学プログラムを経験し、それぞれの事情から海外で生活するOBOG達。

お子さんがいる方たちも多く、海外のコロナ禍における子育てという視点も興味深いのではないでしょうか。

ぜひ、派遣生とはまた異なる視点による各国のコロナ禍における暮らしの様子を読んでいただければと思います。


▼記事はコチラ!

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~OB/OGが見たコロナ禍の世界~第2回 オーストラリア在住 サンダーソン 倫美さん


今回は、ドイツ在住のY.Kさん(1997年イギリス派遣、長野県出身)さんからの報告です。

■滞在地域と在住歴

ドイツで5番目に大きな都市である、ヘッセン州フランクフルト・アム・マイン(人口72万人ほど)から北へ電車で20分程の場所にある片田舎に2019年8月より滞在しており、まもなく1年になります。夫の長年の夢であった研究留学に伴い家族で渡独しました。


■家族構成

夫と子供3人(9歳、7歳、3歳)の5人家族。


■滞在地域のコロナに対する変化

日本の学校が休校措置となった2月末頃からロックダウンに入る直前の3月2週目頃まではドイツでも感染者数が増え始めていましたが、どこか他人事で、「心配したって手洗いするくらいしかできないんだから仕方ないでしょ」という意見も聞かれる程、特に危機感もなく、マスクをしている人はアジア人しか見かけませんでした。ロックダウンに入る直前頃から一気にスーパーからトイレットペーパーや消毒薬がなくなり(ドイツでは物資を蓄えるために沢山買い込むことを「ハムスター買い」というらしいです。)、いわゆるロックダウンに入ってからはスーパーでは必ず店のカートを押して入るように指示され(カートが大きいので他者との距離が保てるため)、レジ前には1.5mの距離を保つための線が複数引かれました。規制が緩和され始めてからも公共交通機関の利用時、店舗等に入る際はマスクの着用が義務付けられ、今は店舗入店時の人数制限やカートの制限は緩和されましたが、マスク着用義務は継続しています。(指摘されても従わない場合は罰金50€など)


■コロナ禍で、その国の国民性を感じたこと

まだ1年程しか滞在しておらずそのうち半年近くが外出制限期間だったので、ドイツの国民性を把握しているわけではないのですが、そんな中でもドイツらしいなと感じたことは、外出規制がかかっても、「散歩」は許可されていたことです。日本であれば不要不急の外出と言われそうですが、ドイツの人はとにかく散歩とサイクリングが大好き。一般的にスーパー・デパート含めほとんどの商業施設が休みとなる日曜日に何をして過ごすかというと、家族で数時間かけて散歩をしたりサイクリングをして楽しむのです。恐らくドイツ国民からその散歩やサイクリングを奪うということは多大なストレスを生むと考えたのか、もしくはそんな選択肢すらあり得なかったのか、5人以上集まらない(州によって違いあり)などの人数制限は生じたものの、一番厳しい外出制限時もジョギング、散歩など屋外の新鮮な空気を吸うための個人のスポーツは可とされていました。また、ドイツ人も比較的日本人と似たような真面目な国民性と耳にすることがありますが、確かに、外出制限が緩和されてからも誰に指示されるでもなく、レジ前では距離をとって並んだり、指示に従ってマスクを着用したり、マナーは良い印象を受けます。余談ですが、外出制限がやや緩和され始めた頃に、アイスクリーム屋の前には距離をとりながらも長い行列ができていました。アイスクリームが大好きなドイツ人らしい光景でした。


(写真)封鎖された近所のローラースケート場


■滞在国と日本の政策を比較して感じること

どちらが良い、悪いという話ではなく、率直に違うと感じたことはドイツでは基本的に国が一方針を示した上で州と相談し、詳細な規則の決定は州に委ねられていること、そしてその決定は週単位で改正され、柔軟性をもつ一方で日本よりも強制力をもっていることです。例えば州全ての学校が休校となった時も警察・消防・医療者の子女等は学校で面倒をみるよう緊急措置をとるとされました。また前述のマスク着用義務付けもそうですが、公的私的空間問わずパーティーが禁止された際など、その時々での指示規則違反をすると罰則が課されます。


■生活の変化

3月16日に子供達の学校、私自身の語学学校が休校となって以降、約2ヶ月半はほぼ自宅で過ごす日々でした。公園も封鎖されてしまいましたが、幸い住んでいる地域が田舎なので、近くには広い草原や森があり、人に会わず子供達と遊ぶことができたので、都市部に住む方よりはストレスが少なかったかもしれません。ネットショッピングの利用が増えましたが、配達員さんにすら会わず、インターホンの音でドアを開けると玄関前や門の内側に荷物が置かれていることもよくありました。ドイツにいるという実感があるのはスーパーに買い物に行く時くらいで、その他は家族のみで過ごす日々でした。救いだったのは、ロックダウンに入ったのが、寒くて暗く雨ばかりの長い冬がようやく明けてきた時期で、日が長くなり始め、晴れの日も増え出し、外に出やすくなり、気持ちも明るくなってきた頃だったことです。これが冬真っ只中だったらと思うと本当にぞっとします。。。

(写真)自宅近くの麦畑


前述のとおり、ロックダウン前ではほぼ皆無だったマスクの着用が今では店舗入店時、公共交通機関乗車時等、当たり前になりました。また外出制限が緩和されてきた現在でも公共交通機関の利用者はまだ少なめです。6月初旬から子供達の学校は段階的に再開しましたが、休校時もオンラインでの授業があったため年間計画通り6月末に夏休みに入りました。(ヘッセン州の公立学校は7月2週目から)私の通っていた語学学校も6月初旬より再開しましたが、1クラスの生徒数上限が以前より少なく設定され、対面での授業の場合の授業料が以前の倍近く値上がりしており、オンライン授業の選択肢も引き続き継続しているため、今はまだオンラインでの授業を受けています。

再び余談ですが、ロックダウン中のある日、スーパーのレジ前で並んでいたところ、ちょうど私の前でお会計をしていた年配の御婦人が、’Merci’ と箱に書かれたチョコレートを購入してそのまま、「これはあなたによ。」とレジを打っていた若い女性店員さんに渡していました。御存知の通りMerciはフランス語で「ありがとう」の意味。(実はドイツのお菓子メーカーの商品!)当時医療関係者と同様、感染リスクの最前線と言われていたレジ店員さんへの温かい心遣いに受け取った女性も驚いて感激していましたが、偶然目にした私もじーんと心が温められました。

■子育ての視点で大変なことはあった?

どこの国でもそうだと思いますが、これが一番大変でした。前述の通り、都市部よりは自然の中で遊べる分、ストレスは少なかったはずで、この点は日本にいるより良かったかもしれません。ありがたかったのは、翌週から休校措置が通達されそうという週末に学校が子供達に全ての荷物を持ち帰らせ、小学3年生の長男にはノートパソコンを貸し出して下さり、休校となった初日からオンラインレッスンを開始して頂けたことです。この迅速な対応には本当に驚き、大変感謝しています。(我が家はイギリス系のインターナショナルスクールに通わせていたので、ドイツの公立小学校の事情は分かりません。すみません。)しかし、子供3人が同時に別々のオンラインレッスンを受けるということはまさにカオスで、特に3歳の次男はパソコンの前にじっと座っているということだけでも難しかったので、私が常に横について一緒に授業を受けなくてはなりませんでした。その合間に食事の用意をしたり、その他家事をこなさなくてはならず、上2人には「大丈夫?」「(授業)受けられてる?」と、声をかけ、部屋をのぞき授業を受けているという確認をするくらいしかできませんでした。私の疲労とストレスも日々溜まっていき、オンライン授業が始まって数週間経過した頃に、3歳の次男がお絵描きをして、題名を「angry ママとsad ぼく」と言われた時には本当に申し訳なく思い反省しました。そして、パソコン操作が比較的得意な長男のことはそれほど心配しておらず、本人に任せていたのですが、オンライン授業が始まって2ヶ月程経過した頃、担任の先生から「イースター明けからここ数週間授業に対する意欲がなくなって、課題も提出していないが大丈夫ですか?御両親の方針で、課題を提出しなくて良いと言っているならそれはそれでいいのですが。」と突然メールが来ました。本人は日々「(宿題を)やっている。」と言っていたので、その言葉を信じて特にチェックもしていませんでしたが、確かに同時期に授業を休みたいと言ったり、私が与えていた日本語の課題もやる気がなくなっており、寝耳に水というよりはやっぱりかという気持ちで課題を確認してみると、11課されていたうちの3つ程しか終わっていませんでした。中には工作やクレイアニメーション作りなど難易度が高く、彼の不得手とするものもありましたので、家族総出で協力してなんとか提出させました。学校にいれば多少苦手でも先生や友人とわいわい相談し、試行錯誤しながらなんとか自力で出来たであろうものも、パソコン上で、「こんな例があるよ。動画を参考にやってみてね!」と言われたところで、その後誰もいない部屋にポツンと独りでは、出来ないのも無理はありません。これまで次男を言い訳に長男を放置してきた自分を反省しました。そして、自室でパソコンを与えているので、空き時間に多少You Tubeを見たり、ゲームをすることはこんな時だし目をつぶろうと思っていましたが、おそらく授業すらおろそかになるほどそれらに時間を費やしていたのだろうと推測し、私の目が届くよう、それ以降はリビングで授業を受けさせることにしました。優先順位をつけざるを得ず、まだ3歳なのでと次男のオンラインレッスンは諦めましたが、長男は担任の先生からもリビングで授業を受けるようになってから笑顔が増えたと言われ、やる気も少し回復しました。後に他のお母様方とお話をしたところ、同様の苦労をしていた生徒が複数いたことが分かり、我が家だけではなかったのだと少し安堵したものの、オンラインレッスンの難しさと、親の関わりの重要性をひしひしと感じました。小学1年生の長女は普段から人前でよくしゃべる方ではないので、オンラインレッスンとなるとより発言は減っていたようですが、工作などは大好きなので、授業が終わっても黙々と何か作っては翌日の授業で得意げにクラスの友人に披露するなどして、オンラインレッスンを上手く活用していました。ほとんど触ったことのなかったパソコンも簡単な操作はできるようになりました。子供それぞれの年齢や性格、授業内容等でオンラインレッスンの向き不向きや活用方法も変わってくるのだと思います。とはいえ、今振り返っても親子共々大変な2ヶ月半でした。


■アジア人に対する差別等は感じた?

ドイツでの感染者がまだ十数人だった2月初旬にフランクフルト市内で日本人女性が差別的なことを叫ぶ人に蹴られ、液体をかけられるという事件があり、その頃から極力都市部への外出は控えるようにしていました。毎日電車で数分でしたが、語学学校に通っていたため、電車から降りて歩く時は緊張していました。日本からマスクは持って来ていましたが、その頃はアジア人しかマスクをつけていなかったので、マスクを着用することが差別行為を助長するのではと恐ろしく、着用できませんでした。私自身、一度だけその時期に窓を開けて車を運転中の男性から何か叫ばれたことがあります。聞き取れなかったので、差別的用語だったのかは分かりませんが、周囲には私しかいなかったので、雰囲気的にはそのような感じがしました。ドイツでの感染者数が増加し始めてからは特にそのような差別的な行為を経験したり、耳にしたりはありません。最近では駅で普通に道を尋ねられたり、次の電車はいつかと聞かれたり、話しかけられることも多々あります。次男を連れているとそのひょうきんな行動をしょっちゅう笑われたり、時には助けてもらったり、人種に関係なくとても子供に優しい国だということを感じています。


(写真・文/1997年イギリス派遣 Y.K/ドイツ在住)

いかがだったでしょうか?

次回は、タイ在住、H.Oさんからの報告をお伝えします。


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EILのプログラムを通して、国際交流体験をしてきた人たちの、その体験、

そしてその体験がその後にどう活かされたかを伺いました。

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