top of page

【高校生交換留学体験談】M.Fさん(カナダ派遣)

更新日:2020年10月26日

EILの奨学金制度の一つ、「EIL留学生奨学金」は、派遣国において交換留学生としての活躍が期待される生徒のための奨学制度です。奨学生の皆さんには、プログラム終了後に体験談を提出いただいています。


本日は、2018年度の奨学生に選ばれた、カナダ派遣生M.Fさんの留学体験談をご紹介します!

 

「カナダで学んだ国際性とは」


はじめに

私が初めて留学を志したのは二年前。あの頃の私が、留学を終えた今の自分に会えることができたなら何を感じるだろうかと、ふと思うことがあります。私は、中学三年生の時に聞いた先輩方の留学体験談がきっかけで留学に憧れ、今ここにいます。あの憧れもやがて現実のものとなり、気が付けば、夢中で過ごしたカナダでの一年間は、夢のように過ぎ去っていきました。しかし、この一年間が私にもたらしてくれたものは、他の何物にも代え得ることのできないかけがえのない経験と人々との出会いでした。まず初めに、このような機会を与えてくれた家族、EILの皆様、学校の先生方、そしていつも応援してくれていた多くの友達とEILの仲間に心から感謝します。本当に、多くの人に支えられてきた一年でした。ありがとうございました。


日本を出発、カナダへ

 昨年の8月、出発日の私は緊張にも増してこれから始まる大きな挑戦に心を躍らせていました。正直なところ、この先一年間日本に帰って来ることがないとは、まだ信じることができていなかったように思います。トロントで過ごした初めの3週間は、すべての始まりでした。初めての英語での買い物、バス通学、ファミリーとの会話など、毎日が挑戦の連続で、それを素直に楽しんでいました。また、最後のオリエンテーションでは、他国の留学生とも交流ができ、4日間という短い期間でしたが、帰国した今でも連絡を取り合うほどの友達ができました。

 8月の最後の日、私が降り立ったのは大都市トロントから300km以上離れたノースベイという街でした。機内から見えた景色はひたすらに森と湖、そして飛行機から降りて最初に見えた景色は、緑一色の木々とただ広い滑走路、そして小さな空港の建物。それを目の前にしたとき、ようやくここに一年間留学するのだという覚悟が、心のどこかで決まったような気がしました。

ホストファミリーとの生活

 私のホストファミリーは、両親と二人の妹、そしてもう一人スペインからの留学生で6人でした。毎日とても賑やかな家族で、いつも私たち留学生にカナダならではの経験をさせてくれました。例えば、冬にはスケートやソリで滑りに行ったり、家の庭で火を焚いてスモアを作ったりもしました。また、毎週金曜日の夜には家族みんなで映画かテレビショーを見ていたので、今まであまり映画を見る方ではなかった私にとっては、新たな楽しみの一つになりました。またダブルプレースメントだったスペイン人のシスターとは、多くのこと、時間を共有したり、言葉を教え合ったりと、思い出をたくさん作ることができました。時には考え方や文化的な違いに戸惑うこともありましたがそれも良い経験です。また、ファミリーとは、オタワやトロントへ泊りがけの旅行にも行き、国会議事堂をはじめとする有名な建物を見たり、アミューズメントパークに行ったりと貴重な経験ができました。

ノースベイでの学校生活

 ノースベイに移動してから数日で、学校が始まりました。私のホストスクールは小さめの学校でしたが、いつもサポートしてくださった先生方と仲良くしてくれた多くの友達がいました。日本との違いで初日に最も感じたのは、留学生の存在があまりにも普通だということでした。加えて、多文化社会のカナダという実情もあり、口を開くまでは留学生だと気が付かれないほどいろんなルーツを持った人たちが、学校の中だけでもたくさんいました。 初めは声をかけてくれる人も少なかったので、自分から積極的にお昼を一緒に食べてもいいかを聞いたり、少しでも授業中に声をかけたりと、とにかく毎日必死でした。最終的には一年間、諦めずにいろんな人と関わり続けたことが実を結び、本当に多くの友達を作ることができました。


クラブ活動

学校生活では、多くのクラブ活動に参加しました。もともとスポーツが好きだったこともあり、シーズンごとに様々なスポーツに取り組めるカナダの仕組みは魅力的でした。私は、クロスカントリーランニングと呼ばれる野外での長距離走、水泳、そしてカーリングのチームに参加しました。特に水泳では、昔からの努力と経験が活き、100M自由形で地区大会で優

勝し、そのままオンタリオ州の大会でも4位入賞を飾ることができました。また、リレーでも二年ぶりとなる州大会への出場に貢献することができ、とても楽しい経験になりました。私が州の大会に出ることが決まってから、学校では先生方が私のために練習場所を確保してくれようと頑張ってくださり、他の先生や友達にもたくさん応援してもらって、本当に幸せ者だと実感しました。州大会がネットでライブ配信されたおかげで日本にいた家族にも泳いでいる姿を見てもらうことができたことは、とてもよかったです。 

また、カナダで初体験となったカーリングも運よくチームに入れてもらえることになり、こちらも州大会への出場が叶いました。カーリングを通しては、本当に人の温かさに支えられたと思います。水泳のシーズンと重なっていたのもあり、忙しい私が試合に参加できるように先生がわざわざ送迎をしてくださったり、コーチとチームメイトがカーリングのあらゆることを一から教えてくれたりと、私のことをよく受け入れてもらったことにとても感謝しています。こうした経験から、改めてスポーツは言葉を超えてその楽しさを世界中で共有できるものなのだと実感することができました。



他国の本当の姿と、外から見た日本の姿

 この一年間は、毎日が新たな発見と挑戦の連続でした。私が常に心掛けていたことは、限られた毎日を自分にとっても周り

にいる誰かにとっても、有意義なものにできるようにということです。その毎日の積み重ねは、私を大きく成長させてくれた

と感じます。それは、言語やコミュニケーション力などの面だけではなく、人としての考え方や振る舞いなどにおいても同様

です。時にはつらくなることもありましたが、努力した分の成長が自分自身で感じられていたからこそ、一年間頑張りきれたところもあると思います。留学に行く前、私の抱いていた目標の一つに、ニュースや新聞からでは分からない他国の本当の姿、反対に海外から見た日本の姿を知る、というものがありました。これに関して私は実際、多くの気づきや学びがあったと思います。例えば、カナダは多文化社会であることで有名ですが、カナダに行って初めて、多文化共生とはどういうことなのか、今日に至る歴史的な背景は何なのか、またカナダの社会について人々はどう思っているのか、ということを、身を以って知ることができました。実際に私の友達の一人が母親はカナダの先住民系、父親はフィンランド系のルーツがあると教えてくれました。彼女だけではなく、多くの人は以前カナダに移り住んできた家系だそうです。また反対に、日本の文化や生活について説明をしていく中で、自分の国ながら気が付くことや初めて知ることもあり、それらは私にとって新たな学びでした。聞かれる質問は、現地の人から見た日本のイメージが反映されていることがあり、「日本にも雪あるの?」と何人にも聞かれたときには驚きましたが、このように、どのような日本のイメージがあるのか、あるいは、どれほど日本のことが知られていないか、ということを知るのはとても面白かったです。

おわりに

 最後に、当たり前のようなことながら私が学んだ一番大きなことは、たとえ地球の反対側に住んでいても、話す言葉が違っても、信じるものが違っても、皆同じように泣き、笑い、喜び、生きているということです。留学以前は、自分の住む日本と海外との間に大きな差を感じていました。例えば、海外の人は大人っぽく見えていて、たとえ同い年だとしても信じられないような雰囲気がありました。それだけではなく、留学中も「違い」を感じることは多くありましたが、日々を共に過ごす中で、同じ人間なのだということを実感できたことによって、世界がより近く感じられるようになりました。生活の仕方や言葉が違うだけで、喜びや悲しみなどの感情は、そうした文化的な違いは超えて、皆分かち合えるものなのだと、強く感じました。高校生のというこの時期に、将来に繋がるこのような大きな経験ができたことは自分にとってかけがえのないものになってゆくと思っています。この一年間で気が付くことができた自分の可能性、そして身に着けた新たな視野を、ここで終わらせることなく未来に活かしていきます。

(写真・文/2018年度カナダ派遣生 M.F)

 

EILでは、一部の派遣国で、EIL高校生交換留学プログラム2020年度派遣生を追加募集しています!詳しくは、こちらをご覧下さい。

  • Facebookの社会的なアイコン
  • Instagram

​EILの正式名称は「Experiment in Intertnational Living」このサイトは、EILのプログラムを通じて国際交流体験をした人たちを「Experimenters」と称し、その体験やその後にどう活かされたかを紹介するEILのウェブマガジンです。

bottom of page