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【高校生交換留学体験談】S.Sさん(フランス派遣)Part.4

更新日:2020年11月10日

連載でお伝えしている、EIL高校生交換留学プログラムにてフランスに滞在中のS.Sさんの留学体験談。


今回は、フランス生活4ヶ月目。忙しく過ぎる日々の生活や異文化に、慣れてきたと同時に、苦しいこともたくさんあり、悩みの一ヶ月だったそうで…。


これまでの投稿はこちら!

 

フランスにきて、4ヶ月が経ちました。毎月、同じことを繰り返すようなのですが、本当に1ヶ月が早く過ぎていき、1日1日を本当に大切にせねばと日々感じております。


今月はほぼ毎日学校に通いました。色々なクリスマスマーケットへ行ったり、ショッピングに行ったりと楽しい時間を過ごしました。今月は以前より多くの子と仲良くなることが出来ました。友達の友達や、同じクラスでも話したことのなかった子と話せるようになり、とても嬉しかったです。また授業にも少しずつ参加できるようになりました。


以前にもお話したように、フランスでは高校二年生は今年から必須科目とオプション(スペシャリティ)というものにわかれ、私はスペシャリティとして経済、地政学、哲学があります。


哲学では『ホメーロスによるイリアス』の第18章を自分なりに訳してまとめてみる宿題があり、(アキレス腱のアキレウスのお話です)内容も全く知らず、フランス語も古語のようなもので、難しかったですが、新しいことも学べ、初めてほとんど自分の力でやることができ、嬉しかったです。



経済ではテストで18点中平均10点の11点をとることができ、先生にも友達にも頑張ったねと言われとても嬉しかったです。経済の先生がテストを返す際に『日本語書いたから見てみて』と言って見ると『とてもいい』と日本語で書いてあり、とても嬉しくなりました。経済は習っていないことも沢山あり、難しい時もありますがとても興味深いので最終目標として授業内で他の生徒と同じように理解できるように頑張りたいです。

(写真)テストに書かれた先生からのコメント


また地政学の授業で先日、国境・領土問題についてプレゼンをしました。私の担当は『北アイルランド問題』について発表したのですが、北アイルランド問題についてあまり知らず、またそれ以外にも世界では様々な領土・国境問題で苦しんでいる方々が沢山いることを知り、自分の見ている世界が全てではなく、学ばなければと改めて実感しました。


少しずつ学校生活に慣れてきて授業に参加出来るようになりましたが、苦しいことも沢山あり、今月は沢山悩みました。


授業が理解できる教科もあれば難しい授業もあります。私の今のフランス語力はまだ乏しく、他の生徒の何倍もの時間をかけて宿題や勉強をしないといけなかったり、テストがある時もみんなと同じようにやらなけばという自分へのプレッシャーから長い時間をかけて勉強し、それがストレスになっていました。また私には数学がなく、どうして自分は数学がなくて、習ったことの無い教科ばかりなんだろうと他の生徒が羨ましく感じ、自分の置かれている状況がきついと感じ泣いてしました。しかし、ホストマザーとお話すると『点数や成績は気にしないで、フランスで違う言語の中こうやって頑張ってるのがすごいんだよ、あなたは既に沢山頑張ってるよ』と言ってくれ友達も『あなたが泣く必要はないよ、もし勉強がきついなら一緒にバカンスにでも手伝ってあげるし、今一番大切なのは学校の勉強じゃないから気にしないで』と言ってくれました。


私はその時に渡辺和子さんの本の『置かれた場所で咲きなさい』という言葉の本当の言葉がわかった気がしました。この言葉自体はよく聞き、その言葉の意味も分かっているつもりでしたが、実際に留学して自分なりにこういうことなのかなと思いました。


人生は自分が思っていたこととは違うことばかりで、キツかったら無理をせず変えることも大切だと思います。しかし今は私は自分なりのやり方で頑張って見ようと思います。SMAPさんの世界に一つだけの花の歌詞にもあるように『一人一人違う種を持つ、その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい、ナンバーワンにならなくてもいい。元々特別なオンリーワン』この曲は以前友達と家族に素晴らしい曲だと紹介しました。私が今回思ったのは『自分のいる場所をただ嘆くのではなく、そこから咲かせる努力をする。でも無理に早く咲かせる必要なんてない。目標は花を咲かせることで、焦る必要はなく、またたとえその花が周りと違っても、それが私で、それぞれがそれぞれの花を自分なりのペースで咲かせたらいい』といいことで、例えば今やっている花の育て方が違うと思ったらそこは変えてみたらいい。花の場所が大切ではなくてそこからの育て方(努力の仕方)を考えることが大切だと思い、そこで私はきついと思う授業に対しては他の生徒と同じようにはテストが受けられないので、違う方法で授業に参加しています。フランス語ではテストの時に私の留学中に感じたことを書いて提出すると『c’est très bien. Bravo, Tu es très douée continue !』(素晴らしい、これからも続けて)と書かれてありました。また地理では他の生徒と同じようにテストは受けますが、多くは答えられないのでそれと同時にメガロポリスのことやっていたので日本でのメガロポリスや太平洋ベルトについてまとめて提出したりしました。大切なのはみんなと同じようにやることではなくて、自分ができることを一生懸命やることなのかなと思いました。


『置かれた場所で咲きなさい』


この言葉に対して様々な意見があり、必ずしも私と同じように思わない人もいると思いますが、それもその人の花の咲かせ方なのでみんながそれぞれ自らの咲かせ方を見つけられますように🌸


また今月は“ほぼ毎日”学校に行きましたと最初の方に書きました。これは今月フランス国内で『ストライキ』があり、交通機関が使えず、2日ほど学校に行けなかったからです。12/5 からフランス国内でマクロン政権による年金制度改革に対して、フランス国鉄(SNCF)や、公立学校なども参加しており、私は学校へ行く際、バスと路面電車を使うので学校に行くことができませんでした。私はホストマザーにこのとこのストライキについて聞いた際に、日本の年金制度や少子高齢化、失業率や貧困問題からオリンピック問題など様々なお話をしました。

このストライキの内容として、今までの年金制度は職業によって退職できる年齢が早かったり(長時間労働をする職業など)それぞれ職業に合わせて42の年金制度があるそうです。その年金制度が赤字で今回の改革で一つにまとめようとしているそうです。また今までは年金受給年齢が62歳だったのに対し、64歳に引き上げ、もし62歳で受け取るならば、減額になるそうです。早く年金を得られるが、年金額が減るか、多く働き、満額を得られるという選択肢が与えられるそうです。政府の説明が不十分で自分達の人生に関わることから、多くの方がストライキを行っているそうです。ストライキはフランス全土で行われ、私は10日学校へ行く際に、『Lycéens (高校生)』と書かれた幕を持って、高校生が大人の方とストライキしているのを見ました。後に気になりネットでニュースを調べてみると『全ての世代がこの改革に対して懸念を示している』ということを示すために行ったとありました。日本でも大学入試改革に対して高校生が抗議を行っています。世界で高校生が自らの政治や国を変えようと行動をしているのを見て、私も1人の高校生として、自らの意思をしっかり持ち、多くのことを学ばねばと思いました。今回のストライキは支持している方の方がフランスでは多いとされていますが、それに反対して『平均寿命の伸びから、以前より多く働かないといけないのは当たり前だ』という考えや、このストライキを行っているのは主に公務員の方だそうで、公務員の方々は多くの優遇があり、それをよく思わない方もいるそうです。改革により年金が変わらない方もいれば、大幅に少なくなる方もいて、それぞれの人生がかかっているのは確かです。私自身まだ多くの情報や、フランスの状況をきちんと分かっていないので自分の意見を持てていませんが、しっかりと様々な意見を見て考えていきたいです。またこのストライキをフランスだけの問題として捕えず、日本での年金制度を考えるきっかけや、フランスのことを知るきっかけになればと思います。


私はフランスに来て2ヶ月頃までは『日本ってフランスみたいにデモとかないでしょ?』などと言われても『Umm oui..』のように曖昧な答えしかできませんでした。フランスでは多くの方が『日本=皆礼儀正しくて、暴力や事件なんてほとんどない』というイメージを持っていて、日本で起きている貧困や、様々な問題はあまり知られていません。日本に対してとても良いイメージをもってくれるのはとても嬉しい事なのですが、日本でも様々なことで苦しんでいる方や、一生懸命 未来や家族のために戦っている方など、良いことだけではないこともあります。私は家族に日本や沖縄の文化などについて日頃からお話をしたり、日本の学校ではこんなだよ〜、日本はこれはこんなしてよく食べるよなどフランスとの違いを紹介したり、沖縄の文化や食について伝えたりしていますが、日本での問題についてはあまり話せませんでした。しかし文化や良い面だけを伝えてそれで本当に『日本・沖縄』を伝えているのかなと思い、最近では日本が抱えている問題や現状についてお話をするようになりました。私が先日家族に『フランスで様々なことを学ぶと同時に日本についても文化だけじゃなく現状も伝えたい』と話すと『フランスでは日本のことは文化や、大きな事件以外あまりニュースにならないから、私たちは日本がこのような問題を抱えているなんて知らなかったけど、日本で起きてる問題を知ることも大切だと思うからあなたのしてることはとても素晴らしいと思うよ』と言ってくれました。フランスへ来てフランスの素晴らしい面や、先程話しように抱えている問題や起きていることを学び、日本・沖縄の文化なども伝えながら、少しずつ起きている現状についても話しています。私は毎晩家族とニュースを見るのですが、その際に日本でもこれは問題になってるよ、や日本ではこれが問題だよ、など少しずつ日本の現状についても少しずつ伝えています。私は留学中にお互いの様々なことを知るうちに『世界を学ぶためには、まずは自分の住んでいるところを学ばないといけない。自分の住んでいるところを伝えるためには、世界を知らなければならない』と感じました。自らを知らずして、相手のことを知ることはできません。


( 写真)フランスで放送されていた、沖縄についてのテレビ番組


私は先日、家族に賭博について聞かれました。賭博が日本では公益ギャンブル以外は禁止されているのは知っていましたが、しっかりと内容を知っておらず、説明することが出来ませんでした。私は日本についても自分が無知であると知り、もっと学ばねばと思いました。また、自分のことを伝えるためには、世界を知らないと多くの人に理解してもらうことはできません。日本でも他国で起きていることはあまりニュースにならないように、自分たちから遠いことは普段あまり関心を持たれません。まずは『自分が相手を知ろうとしないと相手も私のことを知ってくれません』私はフランスで言語だけではなく、様々なことを学び、伝えたいと思っています。そのためには『世界』と『自分の地』を両方を学ぶことがとても大切であるとこの4ヶ月を通して実感しました。


一日一日がとても早いですが、残りの6ヶ月を悔いのないように過ごすためにも、様々なことを自ら進んで学んでいきたいです。


(写真、文:2019年度フランス派遣生 S.Sさん)

 

EIL高校生交換留学プログラムでは、一部の派遣国で、2020年度派遣生を募集しています。

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​EILの正式名称は「Experiment in Intertnational Living」このサイトは、EILのプログラムを通じて国際交流体験をした人たちを「Experimenters」と称し、その体験やその後にどう活かされたかを紹介するEILのウェブマガジンです。

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