2015年夏からEIL高校生交換留学フィリピン派遣プログラムに参加していたS・Tさん。
9ヶ月間の留学生活を振り返ってレポートを書いてくれました。たくさんの日本と異なるものを受け入れることによって得られたことはとても大きなものだったそうです。ぜひお楽しみください!
私にしか送れない留学生活
わたしは2015年7月から翌年2016年4月までの約9ヶ月間、フィリピンのパラワン島プエルトプリンセサ市に留学していました。フィリピンは日本とは違って発展途上国といわれている国です。まだ整備の行き届いていない道路や、道端で物乞いをする人、頻繁にある断水や停電など、日本と違いすぎる環境を受け入れることが最初のころはとても大変でした。ある日、近くのお店に行くために歩いていると、道端に座り込んでいた5~6人の子ども達に囲まれ、お金をください、と言われました。留学前にネットで調べたり、ホストファミリーや学校の友達からこういったことはよくあると言われていましたが、いざその場面に出くわすと頭が真っ白になり、ポケットに入っていた日本で60円ほどのお金を渡してしまいました。現地ではこれぐらいのお金があれば一食満足に食べることができます。私たちからするとわずかなお金ですが、彼らはそのお金を1日に得られるかもわからない生活を送っているのです。そんな状況を、わたしは見過ごすことしか出来ませんでした。あのとき出会った子ども達の顔を今も忘れられません。
途上国のフィリピンですが、国民性はフレンドリーで楽観的。友達作りに困らず学校にはすぐ馴染むことができました。友達に誘われてガールスカウトや生徒会、合唱や数学のクイズ大会にダンスコンテストなどに参加させてもらいました。また、日本のアニメやドラマが好きな友達も多くいましたし、日本のことを褒められる度に母国のことを誇りに思いました。「これは日本語でなんて言うの?」と聞かれるととても嬉しかったですし、私が覚えたタガログ語を話すとみんな喜んでくれたのでタガログ語を使うことが好きになりました。また、クラスでは留学生のためにと何度かフィリピン料理を振舞ってもらいました。フレンドリーで思いやりのあるフィリピン人が大好きになりました。
セメントで整備されていない道路、クーラーがない教室、日本のものと比べものにならないほど遅いネット環境、水が流れないトイレ、冷水でしか入れないお風呂、フィリピン人の少し偏った宗教観など、たくさんの日本と異なるものを実際に自分で見て触れて感じて、その全てを受け入れるということはとても難しいことでしたが、それらを受け入れることによって得られたものは大きなものでした。他の国の暮らしや文化を尊重し郷に従うことで、その国の本質に触れられた気がします。18年間生きてきて常識だ、当たり前だと思っていたことがここでは違う。私の常識をよい意味で全てひっくり返された感じがします。
私は留学中に、他の人とは何か違う留学生活を送ることを意識していました。私が長期留学をする国としてフィリピンを選んだのは、欧米などの先進国では体験できない留学をしたかったからです。他の留学生とは違ったこと、それは実際に途上国での生活を体験したことだと思います。私にとってテレビの中の国であったフィリピンが身近な国になりました。帰国してからは、愚痴や文句を口にすることが少なくなり、周りの人や環境に感謝できるようになりました。生まれ育った沖縄を離れることで改めて沖縄の良さを知ることが出来ました。パラワン島は神が残した最後の秘境といわれ、自然が豊かで多くの観光客が訪れます。しかし沖縄の海などの自然もパラワンに負けないぐらい綺麗です。
私は留学に行く前、途上国の開発に携わる仕事がしたいと考えていました。また、沖縄とフィリピンの切っても切り離せない関係を生かして地域に根ざした途上国開発の方法を考えていきたいです。留学を終えた今、さらにその気持ちは強くなり具体的なものになりました。現在は私の夢のスタートラインである大学合格に向けて受験勉強に励んでいます。大学進学後は自ら進んでボランティア活動や国際交流に参加し、二年次での開発途上国でのインターンと留学を目指してこれからも頑張っていきたいです。
(写真、文:2015年フィリピン派遣生 S・T)
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