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【高校生交換留学体験談】加藤あかね さん(フィンランド派遣)第6回

更新日:2024年11月15日

 2023年8月よりEIL高校生交換留学フィンランド派遣プログラムに参加している加藤あかねさん。今回、ご自身の留学体験を多くの方と共有したいと、現地からレポートを送ってくれました。


 6回目の今回は、フィンランドやフィンランドの都市オウルについて書いてくれました。ぜひお楽しみください!

 

こんにちは。今回は改めて私が留学しているフィンランドやフィンランドの都市オウルについてなどを書きたいと思います。


オウルについて

 オウルは首都のヘルシンキから電車で約6時間のところに位置する都市で、人口はフィンランドで5番目に多い21万人といわれています。オウルは北極圏には入っていないですが、海に面しているため、さらに北のサンタさんがいる町として有名なロヴァニエミより冷え込むこともあります。そして冬には寒さで海や川が本当に凍ります。そこに水があったとは思い出せない光景になります。たまにオーロラを見ることもできました

 オウルの町は1605年にスウェーデンの王Kaarle IX(カール8世)によって作られました。オウルという名前は先住民のサーメ人の言葉で洪水を意味するそうです。昔はタールや鮭で有名な町でしたが、今はテクノロジーや教育で有名となっています。また、とても広い歩道と、自転車のためのレーンなども充実していて、市民の健康にも力を入れているようです。多くの友達がオウル唯一の観光名所だというのはToripoliisi(トリポリーシ)/市場の警官という像です。また、この像の横には120年前から使われているKauppahalli(カウッパハッリ)/マーケットホールがあります。このKauppahalliの前は広場のようになっていて、そこは外の市場になっています。このあたりにはすごく昔からの建物がたくさんあります。また、オウルにはOulun linna/オウル城というお城がありました。このお城は1590年代にスウェーデンによって作られました。石垣と建物は木や石でできており、戦争時の要塞、倉庫、兵士の住居、また刑務所としても使用されていました。落雷による火災や爆発により、今は城壁のみが残っており、そこにカフェがあります。

 また、オウルはエアーギターの中心地となっていて、毎年夏には世界選手権が行われています。エアーギターはギターで演奏された音源に合わせて、いかにもギターを弾いているように音楽に合わせて手を動かしパフォーマンスをするものです。この世界選手権の目的は世界平和の促進で大切なモットーは”Make air not war”です。キターのスキルや年齢、経済力にかかわらずみんなに開かれた文化です。



フィンランドの春と夏について

 日本にいて春と聞くとぽかぽか素敵な季節を思い浮かべると思います。フィンランドの初春はそこまでキラキラではありません。フィンランドではいちおう春は3月から5月とされています。確かにとても暖かくなってきており、プラスの気温のことも多いです。しかし、日によって、最高気温も最低気温もプラスの日があったと思えば、翌日にはマイナス10度台になり、同じ日の中でも朝はマイナスで寒かったのに、昼にはプラス10度に近くになるなど厄介です。気温が上がっているのでたくさん積もっていた雪が解け、日中には道路に近い雪は解けて茶色でべたべたになります。そして一面銀世界のきれいな景色から一面茶色の微妙な景観になってしまいました。また、日中解けた雪は解けた格好のまま夜の間に凍るため、朝は地面が全部凍ってつるつるでごつごつしています。大きい道以外すべて凍っているので滑りながら歩きます。たまに1日中雪が降り続くことがあります。そして、5月の中ごろにようやく雪が解けて最高が15度くらいまで暖かくなりました。とても暖かくなり、カフェでもテラス席が人気で、家では庭にベンチを出して夕方のひと時を外で気持ちよく過ごしたり、町を半そでで出歩く人も増えました。どんどん緑色が増え、いろいろな植物が芽や葉をつけ始めます。お花は5月の終わりごろ一斉に咲き始めました。また、日照時間も爆速で長くなっています。私が住んでいる地域の日照時間は約22時間、太陽が沈んでも少ししてまた太陽が上がってくる状況で1日を通して全く暗くなりません。その影響もあり、より早く植物が育ちます。晴れているときの青空がとても素敵です。



アイスクリーム/jäätelöについて

 フィンランドでは夏といえばアイスクリーム。町のいたるところにjäätelökioski(ヤーテロキオスキ)というアイスクリームの屋台がたっています。イチゴ、チョコ、リコリス、フルーツなど様々な種類のアイスクリームがあり、丸いアイスやソフトクリーム、カップかコーンかも選ぶことができます。また、アイスクリームをのせて売りに来る車/jäätelöautoというものもあり、家の近くで様々な種類のアイスをたくさんお得に買うことができます。毎日太陽の日差しが強く、暑いのでアイスクリームは最高です。


テラスのグリルについて

 夏になって暖かくなってきたので、外のグリルでソーセージやトウモロコシ、お肉などを焼くことが増えました。グリル用のソーセージはMakkara/マッカラという太いソーセージです。チーズが入っていたり、様々な動物の肉が使われているものなど多くの種類があります。


サルミアッキついて

 サルミアッキはフィンランドで愛されている食べ物です。サルミアッキは塩化アンモニウムから作られていてリコリス菓子の一部です。ほかのリコリス菓子と同じような柔らかいものや飴、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイス、キャラメル、料理にまでサルミアッキが登場します。サルミアッキの粉状のものは白色ですが、食べ物の形になったものは黒色です。とても塩味が強く、とても独特な味がします。フィンランドではサルミアッキ愛がとても強く、サルミアッキがないと生きていけないという人も多いです。サルミアッキには健康にもよい効果があり、咳止めになったり、腸の動きを良くしたり、低血圧を改善したりします。高血圧を引き起こす可能性があるので食べる量には注意が必要です。フィンランドにいるとサルミアッキを試したかよく聞かれます。フィンランドに来て初めのころにホストマザーから弱いサルミアッキ飴をもらいました。この飴の外側はとても甘くその中に少しサルミアッキが入っています。これは弱い味で私も食べられました。真っ黒色のいかにも強烈なサルミアッキも何とか食べられましたが、口にすごく違和感が残りました。ぜひサルミアッキを試してみてほしいですが、たぶん身構えていないと口がとんでもなくびっくりするので、黒いお菓子には注意しましょう。また初めは弱いサルミアッキをお勧めします。


チョコレートついて

 フィンランドに来てチョコレートを食べることが増えました。すごくいろいろなチョコレートがお店に売っています。フィンランド最大級のお菓子メーカーFazer(ファゼル)のチョコは特に美味しいです。様々な味の板チョコ、クランチチョコ、チョコクッキーなどがあります。海外のチョコはとても甘いというイメージを持っていましたが、フィンランドのチョコは甘すぎずおいしいです。また、たまにお店で様々な種類のチョコの箱が並んでいて、その中から好きなだけとる量り売りをやっています。たくさん取っても安く、まだ食べたことがない種類のチョコも試すことができ幸せな日です。



フィンランドのお店について

 フィンランドのお店は基本的にとても大きくて広いです。お店には大きくKグループとSグループがあり、全国にお店を展開しています。入り口にはゲートがついていて、入ったらレジのある所からしか出られません。特に大きい店には食料品だけでなく、服や靴、食器、洗剤、アウトドア用品などのコーナーもあります。野菜は自分で、重さをはかる機械に持って行って、野菜に対応する番号と個数を入れてラベルを印刷し、自分で値札をはります。お店が大きい分、品物の数が多い印象で、特にお肉類の数が多く、とても大きい冷蔵庫一面にお肉だけ、もう一面にソーセージとハムだけのような感じです。お魚は生の魚を店員さんに量り売りしてもらう形式はありますが、あまりたくさんの品ぞろえがない印象でした。冷蔵庫は日本のものより大きく、扉がついていて、すべての商品は扉の中に入っています。なので、お店が寒すぎて凍えそうにはなりません。ばら売りのパンを買いたいときは、パンを袋にとっていれてから、野菜と同じようにはかりに持って行って、値段をはります。同じパンでも重さによって少し値段が変わります。レジはセルフレジも普通のレジもあります。普通のレジでは、幅広いベルトがあり、レジの人に向かってゆっくり動いているので、まずカゴからすべての商品を出してそこに並べます。自分の商品の終わりには、次の人の買い物との区別のためのしるしの棒を置きます。レジの人はバーコードを読み取り、品物はそのままベルトで流れて反対側に行きます。そして最後に、買ったレジ袋や自分の袋に自分で詰めます。



ムーミンについて

 フィンランドと言えばムーミン。日本でも知らない人はいないほど有名になっていると思います。フィンランドの図書館にはたくさんのムーミンの絵本があり、フィンランド人はたいてい小さいころにムーミンの本やアニメを見るようです。ムーミンの絵の付いたガムやキャンディーなどもあります。また、ムーミンのカップはだいたいどこの家にもあるみたいです。

 ムーミンはトーベ・ヤンソンというスウェーデン系フィンランド人の作家によって作られた物語で、初めはスウェーデン語で書かれていました。フィンランドは過去約500年間スウェーデンの一部だったので、フィンランドに住んでいてスウェーデン語を母語としている人もまだいらっしゃり、スウェーデン語で授業が行われている学校や、スウェーデン語話者が多い地域、スウェーデン語しか話されていない地域もあります。ムーミンのアニメは1960年代日本で作られました。初めに作られたシリーズはトーベ・ヤンソンの創り出した世界とは少し異なっていたので正式には認められませんでしたが、1990年代に日本で新たに作られたムーミンのアニメは世界的に広がりました。また、トーベ・ヤンソンはパートナーと一緒に日本を訪れています。東京でスピーチを行う際には、数か月前から日本語を勉強し、すべてを日本語で話したそうです。

 フィンランドのタンペレというヘルシンキから電車で2時間のところにある都市にはムーミン美術館があります。そこにはトーベ・ヤンソンの直筆の作品がいくつも飾ってあります。ペンで書いた白黒のムーミンの絵は色がついていなくてもとてもいきいきとしていて素敵です。フィンランドに来る機会があればぜひ立ち寄ってほしいと思います。美術館ではいくつもの説明が日本語でも書かれています。



スポーツについて

 フィンランドの冬のスポーツと言えば、アイスホッケー、クロスカントリースキー、ダウンヒルスキー、スケート、アイススイミングです。特にアイスホッケーに熱狂的な人が多いです。よくテレビでも放送されていますし、応援しているチームのグッズを持っている人も多くいます。クロスカントリースキーは日本ではあまり有名ではないですが、普通の道や森の中をスキーで滑るものです。コツをつかむまでは滑るのが難しいですが、これを趣味にしている人もたくさんいます。自分のスキーを持っていて、仕事の後や休日に滑りに行く人もいます。フィンランドが戦争しているときは、スキー部隊というものがあったそうで、大量の雪の中でも安定して早く進めるのは戦争で有利に働いていました。川や湖が凍るので、そこでスケートをしたり、アイススイミングをすることができます。

 私は4月のはじめにダウンヒルスキーに行きました。Iso-Syöteというオウルから少し北東にあるスキー場です。学校の生徒会のような組織が学校からの日帰り旅行を計画してくれました。まず4月にスキーに行けることに驚きました。まだたくさんのパウダースノーがありとても楽しめました。このスキー場にはチェアリフトはなく、すべて滑走式のリフトでした。T字の棒をスキーの人はお尻にあてて、スノボの人は足で挟んで乗ります。このリフトでは足を地面につけたまま、リフトは体を支えるだけで座ってはいけません。初めてのリフトの形式にドキドキしました。リフトには3か所ほど降りられるポイントがあり、難しいコースに行きたい人は最後までリフトに乗り、簡単なコースを滑りたい人は早く降ります。降りるポイントが来たら、自分でリフトを振り払って滑り出します。リフトから離れるタイミングが難しく、早く放しすぎて後ろ向きに滑ってしまったり、体重をかけすぎて途中でリフトから落ちたりしてしまいました。でも同じゲレンデでも自分でレベルを選べて、またずっと足が地面についているので怖さはなくていいと思いました。森の中を滑れるコースや、ゲレンデの一部の区画にトナカイもいて面白いです。友達とリフトでいろいろな話をしながら、たくさん滑って満喫できた1日でした。



フィンランド語について

 フィンランド語は多くのヨーロッパの言語とは異なり、ウラル語族に属しています。フィンランドを長い間支配していたスウェーデン語や、英語、ドイツ語、ほかの北欧の国のノルウェー語、デンマーク語などはインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、フランス語やイタリア語などはラテン語派に属しているので、それらとはかなり異なる言語です。同じウラル語族にはエストニア語、ハンガリー語などがあります。日本語とも違うグループですが、似ていることが多いのがフィンランド語です。同じような発音の単語があったり、文法が似ていたりします。だから、すごく日本語のように聞こえるフィンランド語をジョークとして作ることもあるそうです。例えばsama(サマ)は「同じ」という意味で、koko(ココ)は「全部」sika(シカ)は「豚」kani(カニ)は「うさぎ」です。日本語の感覚で聞いているととんでもなく違う意味に取ってしまうことがあるので注意が必要です。また、フィンランド語では○○のという所有を表すとき、単語の語尾に-nを付けます。フィンランド語では、○○へ、○○からなどの日本語の助詞に当たるものを単語の語尾を変化させることにより表します。これを理解するのがすごく難しいですが、少しフィンランド語と日本語が似ているのがわかると思います。


Kiitos! 最後まで読んでくれてありがとうございました。次回は留学生活最後の月にあったいろいろなイベントについて書こうと思います。


(写真、文:2023年度フィンランド派遣生 加藤あかね)




 

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