これまでに数多くの人たちが高校生交換留学プログラムに参加してきました。OB/OGたちの進路やキャリアは多岐に渡っており、それぞれの分野で活躍し、社会に貢献しています。
今回インタビューを行ったのは、1996年にカナダ派遣プログラムに参加された小田たかみさんです。小田さんは広島市立大学国際学部を卒業後、自動車メーカーに就職し、3人の子育てをしながらお仕事をされています。
今回小田さんに高校時代の留学経験がどのようにその後の歩みに影響を与えたのか伺いました。
海外の人と実際に交流したいと思い留学へ
Q.交換留学プログラムに参加しようと思ったきっかけを教えてください。
中学2年生の時に、学校が加盟していた赤十字のプログラムで、広島県代表として韓国の学生との交流会に派遣され、数日間韓国に行く機会がありました。それが私にとって初めての海外で、更には外国の人と実際に交流した初めての経験でした。海外に対する興味は元々ありましたし、実際に体験して、更に興味が沸きました。
また、その当時は海外にペンパル(文通相手)をつくろうという活動が学校でありました。私はマレーシアの人と文通をして、それもまた刺激になったことを覚えています。実はその文通相手とは実際に会うなど、今でも交流があります。
交換留学に応募をしようと思ったのは、ちょうどその頃でした。応募にあたっては、私の事をかわいがってくれていた祖母がすごく心配し、その説得が1番大変でした。当時はインターネットもありませんでしたから、国際交流センターに一緒に行って話を聞き安心してもらうなどして説得を試みました。最終的に私の強い気持ちに祖母が根負けした形になりました(笑)。
Q.派遣国にカナダを選んだ理由を教えてください。
とにかく「赤毛のアン」が好きだったので、留学に行くならカナダと思っていました。第2希望を書いた記憶がありません(笑)。カナダの自然の豊かさにも惹かれました。当時は、高校留学に行く場合は8割以上がアメリカに留学していました。今とはまたイメージが異なる部分もあると思いますが、治安面等から、カナダの方が留学に行くことについて、親を説得しやすいと思ったことも覚えています。
言大変なことを乗り越えたからこそ得られた自信
Q.留学生活で苦労したこと・大変だったことを教えてください。
高校1年での留学だったこともあって、とにかく英語には苦労しました。何が宿題かもわからないような状態だったので、先生にも相談しましたし、宿題についてはホストマザーにも助けてもらいました。また、カナダでは履修科目をある程度自由に選べたのですが、ホームルームの子たちと履修科目が重ならなかったので、友だちづくりにも苦労しました。日本と比較して、広範囲から学校に通ってきますし、公共交通機関がないので、学校の後に友だちと遊ぶ、みたいなこともなく、そういった日本との違いにも苦労しました。徐々にランチを一緒に食べるような友だちができて、その子たちに授業の内容を教えてもらうようになり、また、友だちとの会話量も増えると英語力が上がり、そうすると授業もわかるところが増えて、と連動して状況が改善していきました。
そうしているうちに現地の小学校や高校の歴史のクラスで日本のことを話す機会を先生が提供してくれました。そういう場で話す機会をもらったりしたのは自信にもつながり、今振り返るといい経験になったと思います。
Q.高校留学で一番思い出に残っていることはなんですか?
ハロウィンで仮装し、住宅街に住む友人宅近隣を巡ったのは、カナダの文化を感じる刺激的な体験でした。また、仲良くなった友だちとは、ホストマザーも含めて仲良くなったこともあり、留学の終盤にみんなで一緒に赤毛のアンの舞台である、プリンスエドワード島に行きました。赤土の大地と広い海岸線の景色が強く印象に残っています。その時の友だちたちとは今でもやり取りが続いています。
カナダ留学を経験したからこそ、自分の生まれ育った場所で何かしたいという思い
Q.高校留学から帰国した後の進路について教えてください。
私が中学生の時に、広島市立大学が設立されました。広島ならではの平和や国際関係に強みを持つ大学として設立されたので、当時から進学したいと考えていました。実際に留学から戻ってきた後もその気持ちは変りませんでした。
留学中の単位を認定してもらい、2年生に復学したこともあって、1年間日本の勉強が抜けた状態でしたから、数学などまったくついていけませんでした。先生に相談して個別に指導してもらったりもしましたね。結果的にそうした努力が成績に結び付き、公募推薦で広島市立大学に合格することができました。
Q.これまでのキャリア変遷について教えてください。
私が就職活動を行ったのは、ちょうど職種別採用が始まった頃でした。カナダ留学を経験したからこそ、自分の生まれ育った場所で何かできないか、と思っていたところに、会社の社会貢献的な活動や、地域との渉外、コミュニケーションを行う職種を地元企業が募集していて、受けたところ採用が決まりました。
入社後は広島県内で行うイベントに会社として参加するなど、ボランティアや社会貢献関係の活動を行う部署で6年ほど仕事をしました。その後は、CSRに携わる部門に移り、現在はいわゆる広報部門に所属し、会社が社会課題解決のためにどのような取り組みをしているかを社外に発信する仕事をしています。
2019年から2021年にかけては、パートナーのアメリカ赴任に同行しました。初めてづくしの1年目も間もなく終わり、2年目はより充実させようと思っていた矢先に新型コロナウイルスの感染が広がり、ステイホームのアメリカ生活では苦労もしましたね。しかしながら、留学での経験から現地の方とのコミュニケーションは臆することなくとることができたため、分からないことは何でも近所の方に聞き、困ったときには助けてもらいながら制限のある中でも充実した生活を送ることができました。
今後どんな困難にも負けないという、他では得難い大きな自信
Q.高校留学の経験は今の自分に、どのように影響を与えていますか?
自分1人の力でやり切ったという自信を得られたことが大きいですね。出会った人たちと仲良くなり、関係性を築いたという経験、そして、それまでと異なる環境で、見るも聞くも行うも全てが初めてのチャレンジの中10ヶ月を過ごし、最後は帰りたくないと思うほどの経験を得たのだから、今後どんな困難にも負けないという他では得難い大きな自信がつきました。
私の高校留学は20年以上前の経験になりますが、ホストファミリーや現地の友だちたちとの関係は今でも続いています。私の結婚式にはホストファミリーが広島まで駆けつけてくれました。また、パートナーのアメリカ赴任の際には、家族でホストファミリーを訪ねるとともに友人にも再会しました。カナダでの出会いは、その後の生活をより豊かにしてくれています。
さらに、帰国後のOB/OG会の活動でも人間関係に広がりがありました。世界各国に留学をした幅広い人たちが集うコミュニティは、学校関係のコミュニティとは全く異なる人たちが集まっているので、全国に友だちができ、また向上心・ハングリー精神のある人が多かったので、大変刺激を受けました。その後の進路は無限に広がっていると感じました。
高校留学は、行って帰っておしまい、ではなくて、その経験や留学から得たものが起点となって、次の世界が広がっていくものなんだな、と時間が経って思いますね。
Q.留学を考えている高校生にメッセージをお願いします。
高校生というのは、いろいろな影響を受ける多感な年齢だと思います。そうした年齢の時に海外に出て、多様な考えに触れて視野を広げるという点で、留学に挑戦するのにはとてもいい時期だと思います。とてもチャレンジングですが、自分の自信にも繋がりますし、「出てみたいな」「興味があるな」と思うならぜひチャレンジしてもらいたいですね。高校留学でできる人間関係はきっと自分の人生にプラスになると思います。
特に私は広島で生まれ育ち、今も広島で暮らしているせいかもしれませんが、どうしても日本は同じ考え方の人たちが集まっている印象が強いです。でも、海外に出てみると、その国の人だけではなく、様々なバックグラウンドの人たちが一緒に生活していることが体感できます。異なるバックグラウンド、異なる思想の人たちが一緒に生活をし、互いの価値観を理解し尊重し合うという経験をみんなで重ねていけば、戦争もなくなっていくと私は信じています。
小田たかみさんプロフィール
広島県広島市出身
広島県立廿日市高等学校1 年時1996 年夏よりカナダに留学。帰国後、2 年次に復学し、広島市立大学国際学部に進学。卒業後、自動車メーカーに就職。現在に至る。3 児の母。
EIL高校生交換留学プログラムでは派遣生を募集中です。
資料請求・説明会のお申し込みはこちらから!