2021年にEIL高校生交換留学プログラムにて南アフリカに派遣されていたH.T.さん(留学中のレポート一覧はこちらからどうぞ)。
帰国後、ホストシスターとベトナムで会われたそうで、その様子について今回事務局にレポートを寄せてくれました。留学は帰国して終わりではなく、その体験はずっと続いていくものだ、という高校留学の理念を体現されたHさんのベトナム訪問記をぜひお楽しみください。
南アフリカから日本に帰国してから7ヶ月。私はホストシスターに会いにベトナムへ向かっていました。
実は、ホストシスターと言ってもまだ一度も対面では会ったことのない存在です。ホストシスターはベトナムで英語の先生をしており、私の留学中もずっとベトナムにいたため一度も会ったことがありませんでした。
実際に会ったことはないものの、毎日ホストマザーから彼女の話を聞いたり、3日に1回はビデオ通話をしたり、ホストマザーの誕生日にシスターと協力してサプライズをしたりと、とても近い存在でした。
ある日ホストシスターと電話をしていた時に、日本からベトナム、ホーチミンまでの飛行機の往復券が3万円台であることが発覚!こんな絶好のチャンスは逃せない!ということでゴールデンウィークを使って6泊7日で彼女の元へ向かいました。
今回はベトナムでの話を少し紹介させていただきます。
ベトナムへ
日本からベトナム、ホーチミンまでは飛行機で約5時間。朝8時に成田を出て13時頃に到着しました。入国に必要なものはPCRの陰性証明書のみ(実際は陰性証明書を確認されることもありませんでした)。 入国審査はとっても簡単でした。
ホストシスター夫婦との対面
空港まではホストシスター夫婦が迎えにきてくれました。初対面だけれど彼女のことをたくさん知っていましたし、電話もたくさんしていたので本当のお姉ちゃんに再会したような感覚でした。
ホストシスターはサプライズが大好きな人。南アフリカにいるホストマザーには、私が彼女の元を訪れていることを秘密にしていました。彼女の家に向かう車の中で、彼女の電話で私がホストマザーに電話をかけてサプライズの種明かし!ホストマザーは一瞬何が起きたのかわからないくらい驚いていました。
観光地巡り
ホストシスター夫婦は私をホーチミンの観光地のほとんど全てに連れて行ってくれました。3年間ホーチミンに住み、ローカルの友達も多い2人との観光は、旅行サイトに載っていないような面白い場所ばかりでとても楽しかったです。
ベトナムと言えば美味しいご飯や綺麗な観光地でも有名ですが、ベトナム戦争の背景も忘れてはいけません。戦争証跡博物館では戦争の始まり、経緯、現在を生々しい写真と展示物が伝えてくれます。
ベトナム戦争中にアメリカがベトナムに撒いたオピオイド。博物館に行った後に意識して周りを見ながら街を歩いているとオピオイドの影響を受けた人を何人か見かけました。
ベトナム料理!!
ベトナム料理が大好きな私はホストシスターに「ベトナムで食べれるものを食べれるだけ食べたい!」と伝えて、朝から晩までさまざまな料理を食べました。
ある日ホストシスターは私に路面で食べれる100円以下のバインミーとレストランで食べれる500円ほどのバインミーを食べさせてくれました。両方美味しかったのですが私は100円以下のバインミーの方が好きだったかも。もちろん食べた時間や環境はあると思いますが、路面で販売されている地元の味は間違いないな、と思いました。
再び南アフリカ
ベトナムではたくさんの南アフリカ人に会いました。海外で英語の先生をする仕事は高給取りの仕事です。物価の安いベトナムやタイでも、物価が日本の2/3くらいの南アフリカより4倍近いお金を生み出せるそうで、南アフリカでは将来海外で英語の先生をすることを目指している若者が多くいます。特にベトナム、タイは政府が英語教育に力を入れているため給料が更に高く、高収入の仕事をしながら物価の安い国に住めます。ホストシスター夫婦が稼いでいる額はベトナムのお医者さんと一緒だと聞きとても驚きました。
これらの理由もあり、ベトナムには南アフリカ人がたくさん!南アフリカ人コミュニティーが発足しており、ホストシスターと仲がいい何人かの南アフリカ人とお出かけをしました。
久しぶりに聞く南アフリカ人同士の生の会話は最高!現地語のアフリカーンス語が混ざったアクセント強めの英語を聞くと温かい気持ちになります。南アフリカに戻ったような気分でした。電話では毎日のように友達と話していたけれど、やはり南アフリカ人同士の生の会話はパワーがあってワクワクしました。
はじめてのバイク 海外に行くたびに広がる視野
ベトナムと言えばバイク!!ということで人生で初めてバイクに乗りました。
蒸し暑いベトナムの空気。
道路を歩いてる犬。
超高層ビルが作る綺麗な夜景。
耳が痛くなるほどのバイクのクラクション。
路面で生肉を売る人。
体の大きいホストシスターの旦那さんの後ろに乗り、異国の国をバイクで走ってるとき、ベトナムに来た!!と実感しました。
海外に行くたびに自分の中の”アンチ”がなくなって行く感覚に幸せを感じます。私は思い込みが激しい人で、良くも悪くも「これはいい、悪い」と決めつけてしまうことがあります。その性格からか、変なところで受け入れられない物が多く、南アフリカに行く前、夏に海でサーフィンする人やスケボーをする人、タトゥー入れてる人を毛嫌いしていました。(地元が鎌倉なのもあり夏になると外から来た人で賑わう海が怖かったのかも...?)
しかし南アフリカに行って自分もサーフィンをするようになり、スケボーにチャレンジしてみたり、タトゥーを入れてる友達と一緒に生活したり。何気ない生活を過ごしているうちに、気づいたらどれも受け入れられるようになっていました。
それと同じ感覚で、今まで理由は分からないけれど毛嫌いしていたバイク。今回ベトナムで乗ってみたことで”バイクアンチ”がなくなりました。
南アフリカでの1年間で私が触れた、キリスト教、イスラエル教、ホームレス、薬物依存者、黒人社会、英語を話す環境など!あの頃の毎日の新しい発見が今の自分の価値観に繋がっていると実感しました。
日常生活の中ではあまり気づかないけれど私の中にはまだまだ受け入れられていないものがあります。自分が気づかないうちに拒否しているもの、関わらないものがあるのは悲しいことです。これからも新しいものに新しい形で触れていき、自分が受け入れられる範囲、気に掛けることができる範囲が広げ続けられる人になりたいです。
メコンツアー中に出会った少年
ベトナム、ホーチミン滞在中にバスツアーでメコン川に行きました。メコン川は、チベット高原からミャンマーとラオスの国境、タイとラオスの国境、カンボジア、ベトナムを通って、南シナ海へと流れる国際河川で、全長は約4800km、流域面積は日本の国土の2倍以上になります。アジアでは7番目に長い川です。豊富な食料や水を生み出し、ここに暮らす人々の生活を豊かにし、この地域の貴重な生態系を支えています。
グループの中に大学生くらいのベトナム人の男の子がいました。英語を喋る人が少ないベトナムで彼は英語をとても上手に話し、私たちにも英語で話かけてくれてベトナムの歴史や文化について教えてくれました。
よくよく話してると彼はなんとホストシスターの旦那さんの親友の英語のクラスの教え子なことが判明!彼が小学1年生〜3年生まで通っていた学校で旦那さんが英語の先生をしていたのです。不思議な縁はどの国でもどの場所でも生まれるものでほっこりしました。
彼は今大学3年生でエンジニアを勉強しているそう。小学生のときから英語を勉強し始めて今ではほとんど英語に問題がないほど理解できるように。ベトナムの大学を卒業した後はイギリスの大学院に進みたい、と言っていました。
ツアーの最後に出会えてよかった!
大学に入学したばかりのこの時期に、積み重ねた学習と学びの姿勢がある彼に出会えて、そして彼がホストシスターの旦那さんの親友の教え子で、心が幸せになった出来事でした。
英語によって広がった世界
南アフリカでの留学を通して英語が自分の言語となったことで、私の世界は大きく広がりました。例えば今回ベトナム行きを決めたとき、言語の心配をすることなく、東京から沖縄に行く感覚で、ベトナムに向かっていました。チケットだって英語のサイトが読めなかったらここまで値段を抑えて行くことはできませんでしたし、そもそもホストシスターに会いに行こう、なんて思うことはありませんでした。
英語が自分の言語になり読めるもの、出会えるもの、触れられるもの、気づけるもの、目指せるものが増えたと強く感じます。また、「どこに行っても大丈夫」という謎の自信がついたおかげてフットワークが軽くなりました。
現在はスペイン語を勉強中です!スペイン語がもっと分かるようになったらどんな未来があるのかな、とワクワクしながら赤ちゃんレベルのスペイン語を勉強中してます。しかし、これは言語だけでなく知識に関しても言えることです。歴史を勉強することで自分の日常が少し違って見えたり、パソコンを使いこなすことで新しい情報に出会えたり、小説を読んで新しい価値観や職業に出会ったり。
何事も無駄だと思わずに向き合ってみて、そこから広がる世界を楽しむ生き方をしていきたいです。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
6泊7日のベトナム旅行は南アフリカでの留学生活を思い出し、新しいものにたくさん触れたとても濃い幸せな時間になりました。
8月には南アフリカで同じ地区に派遣されていたラトビア人の友達と日本で私の高校に1年留学していたドイツ人の子が日本に遊びに来て、9月には私が2週間ほどダブルプレースメントで一緒に暮らしていたイタリア人のホストシスターに会いにイタリアに行きます。
南アフリカでの1年間は帰国後も続く大切な経験になっています。
まだ18歳。地に足つけて自分のワクワクにお金と時間を使って過ごして行きたいです。
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