EIL高校生交換留学プログラムの2020年夏派遣プログラムは、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、原則としてすべて中止となりましたが、一部プログラム参加の強い希望をいただいた生徒については、派遣先国の状況も見ながらプログラムを催行しています。 そのうちのお1人がフランス派遣の永田絵麻クラークさんです。永田さんはEILサポーター奨学金の合格者として今回の留学プログラムに参加しています。
連載として永田さんの留学体験をお伝えしています!では、第三弾のレポートをお楽しみください♪
あっというまに3月になり、留学生活も半年以上が経ちました。
フランスではコロナの状況がまた最近ひどくなってきており、第3波によって先日パリやその近郊では4週間のロックダウンが行われることが決定しました。それ以外の地域でも19時以降夜間外出禁止や、レストランや映画館などの閉鎖といった措置は引き続き取られています。コロナで制限されることも多い留学生活ですが、無事に半年過ごすことができたことを有難く思います。
今回は年が明けてからの生活や2月にあったバカンスのことをお伝えしたいと思います。
ホストブラザーのクラスで日本についてプレゼン
1月末に、ホストブラザーのクラス(小学校4年生)に日本についてのプレゼンをする機会をいただきました。9、10歳の子たち向けだったので、言葉選びを考えたり、日本に関心を少しでも持ってもらえるように、またフランス語でのプレゼンだったのでかなり時間をかけて準備をしました。当日は、思っていたよりも時間をもらうことができず、最後は折り紙をみんなでしようと考えたのですがそれができなかったため、後日ホストブラザーと一緒に作った折り紙をプレゼントしました。日本の全般的なことや私の地元である福岡のことをフランス語で紹介でき、みんなとても興味深そうに聞いてくれたのが嬉しかったですし、終わった後にみんなが駆け寄ってきて質問をたくさんしてくれてとても驚きました。それからは、学校(私が通っている学校は小・中・高が一緒になっています)ですれ違うと、あ!あの日本人の子だ!と覚えてくれていて、いつか日本に行きたい!と話しかけてくれたりするので、とてもかわいらしいですし嬉しい気持ちになります。プレゼンの準備の過程で、ホストブラザーがとても手伝ってくれたのですが、折り紙にとても関心を持ってくれてよく一緒に折り紙をするようになりました。またそうして一緒に作ったものをホストマザーやファザーに見せると、「日本はとても繊細で美しい文化を持っているよね」と言ってくれました。
フランスでの試験
2月の頭には、一週間丸々試験がありました。私は高1に属していますが、高2や高3ではちょうどバカロレアの模試が行われているようでした。フランスでは高校2年生でフランス語のバカロレア、そして高3で残りの教科のバカロレアがあります。高1は、その1週間の試験で、英語・フランス語ではオーラルの試験、化学・経済・数学・生物の筆記の試験がありました。フランス語の試験では私はみんなとは違って、先生に何枚かの写真を与えられてそれらの写真を説明するのと質問に答えるもので、あとは留学生活についてのお話などをしました。口頭での試験だったのでとても緊張しましたが、「この短い期間でこんなにフランス語上達させてすごいね!」と言ってもらえたことがとても嬉しかったです。それ以外の教科はみんなと同じように受けましたが、全教科で平均点以上を取ることができたので努力した結果が出てとても嬉しかったです。人一倍勉強しなければいけないのでとてもストレスを感じていまい、来たばかりの頃はそのようなストレスを自分の中に抱え込んでいた時期がありましたが、以前テストはとても緊張をしてしまい、ストレスを感じているという話をホストにしたら、「今の時点でもういろいろ説明したり記述も少しずつ書けたりできているのがすごいんだから、心配しなくて大丈夫だよ」と言ってもらえたので気が楽になりました。これまでの留学生活を通して頑張っていれば少しずつ形に表れることを実感しましたし、自分のペースで頑張ることの大切さも感じました。
2週間のバカンス
2月の後半は2週間のバカンスで、前半はホストファミリーとArcachonという大西洋側の地域に滞在しました。お買い物をしたり、ボートに乗ったり、la dune du pilatという砂丘に訪れ壮大な景色を見ることができ、またホストファミリーとの思い出が増えました。バカンスの後半は、勉強をしたり、友達と出かけたりしました。クラスメイトの子とショッピングに行ったり、10月にコーディネーターが担当している留学生たちと集まったのですがそこで出会ったドイツ人とエクアドル人の2人の留学生とも遊びに行けました。私は普段ホストスクールで留学生が私だけなので、このように留学生と交流するのはお互いの近況を話したり、気持ちを分かち合うことができて楽しいです。コロナの影響で10月以来会えていなかったので、このバカンスの時間を活用して会うことができてよかったです。留学生で集まった10月は、みんな英語でコミュニケーションをとりましたが、今回遊びに出かけたときはすべてフランス語で話すことができたのがうれしかったです。またこのバカンスの間にはお菓子作りや料理にも取り組んで、ホストに喜んでもらえたので良かったです。
授業で扱われたフランスと日本の有給休暇の違い
バカンスが明け3月からまた学校に通っています。私の学校はコロナ禍ではありますが、留学当初から毎日対面授業が行われています。クラスや先生方でコロナに感染した方が出たのですが、日本のようにすぐに休校にならずクラスでは3人以上感染者が出ないようで、学校は通常通りでした。ですが、まだ多くの地域や学校でオンライン授業が行われている中で、コロナ禍でも毎日学校に通えていることで友達を作ることができたり、フランス語の上達もできたりしたと思うのでとても有難いなと思っています。
先日地理の授業で、有給の話になりフランスでは職業にもよりますが約36日、それに対して例として先生が日本をあげ、約17日だとおっしゃっていました。そしてその有給消化率も、フランスはほぼ100パーセントですが日本は全くそうではないということ。それを聞いたクラスメイトがとても驚いていて、「日本は働きすぎだ!」と言っていました。そのあと私に日本ではどのくらいバカンスがあるのかを尋ねてきました。日本は夏休み、冬休み、春休みに対して、フランスは2か月の夏休みプラス約2か月(6、7週間)学校に行くごとに2週間の休みがあります。おまけに水曜の午後は授業がありません。(はっきりとした理由はわからないですがマザー曰く週の半ばに休憩を入れることで生徒のモチベーションをあげるためだそうです)このように、フランスは本当に休みが多い国です。でもこのこまめな休みがそれぞれのやる気にも繋がっているようです。
国際女性デー
私がとても印象に残ったある出来事について書きたいと思います。3月8日は、国際女性デーでした。2月のバカンス、友達とショッピングをしていた時にある2人組の男女にチラシを渡されたのです。そのチラシは、3月8日国際女性デーにデモを行うということで、その参加を呼びかけるものでした。また、世界の女性の暴力被害や性被害の現実のありさまについて書かれてありました。国際女性デーの1週間ほど前になると、学校では「次の月曜日は国際女性デーだよね」と話している子たちがたくさんいました。私はこの日のことはなんとなく知っていましたが、特に意識して考えたことがなかったので周りがこのような問題について話し合ってそれぞれの意見を持っていて、デモという行動が正解かはわからないけれどそれでも行動をしているということに、私は様々なことを考えさせられました。
当日は平日で授業があったため私はあいにくデモには参加できなかったのですが、SNSで写真や動画かたくさん載せられていてかなり多くの方が参加したようでまた驚かされました。フランスに来てから何度か、フェミニストかどうかをきかれたことがあったのですが、このような私が考えたこともなかった社会問題や政治のことについてそれぞれ考えを持っているフランス人を見ると、視野がとても広いな、自分ももっといろんなものに目を配って、まず知ろうとするところから始めるのが大事だなと考えさせられます。フランス人は日ごろから討論をしたり、政治の話をしたりするのがとても好きで、それぞれがしっかり意見を持っています。日本だと対立を避ける傾向にあるけれど、フランスでは自分の意見は曲げないで一生懸命相手に訴えるのが感じられるので、一見喧嘩のように見えるのですがただ討論をしているだけなのでみていて面白いですし、このような国民性が素敵だなとも思います。
トゥールーズ訪問
最後に、先日ホストマザーの誕生日を迎えました。それをかねて週末に「バラ色の街」と呼ばれているトゥールーズを訪れました。トゥールーズは、人出がとても多くて活発な町でした。またなんと日本庭園もあって、まさかフランスで日本庭園を訪れることになるとは思わなかったので驚きでした。
ホストマザーの誕生日当日はお家で飾り付けをし、マザーにプレゼントを渡しました。私は、プレゼントとはまた別にホストになってくれたことへの感謝などを手紙に書いて渡したのですが、泣くほど喜んでくれたのでとても嬉しかったです。
最後に
改めてこの状況で留学できていることに感謝の気持ちを持つとともに、この半年で多くのことを経験し学び、自分自身もいろんな面で成長してきたと実感しています。残りが少なくなってきた今も、初心を忘れずに、語学だけでなく引き続き多くのことを吸収して頑張っていきたいと思います。
(文章・写真 2020年フランス派遣 永田絵麻クラークさん)
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