EIL高校生交換留学プログラムの2020年夏派遣プログラムは、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、原則としてすべて中止となりましたが、一部プログラム参加の強い希望をいただいた生徒については、派遣先国の状況も見ながらプログラムを催行しています。 そのうちのお1人がフランス派遣の永田絵麻クラークさんです。永田さんはEILサポーター奨学金の合格者として今回の留学プログラムに参加しています。
連載として永田さんの留学体験をお伝えしています!では、第二弾のレポートをお楽しみください♪
ホストスクールでの生活について
今年度は新型コロナウイルスの影響で本来ならば8月に3週間行われるはずだった語学研修が中止となってしまい、9月に到着して隔離等もなく2日後に学校が始まりました。
いろいろな面で不安と緊張を抱え迎えた初日、想像以上に授業が何も分からず、かなり落ち込みました。授業はほとんど口頭での説明が多く、ノートをとるにも追いつかず。ですが、クラスメイトは私を温かく受け入れてくれ、困ったときはいつでも聞いてね、と言ってくれたり、一緒にお昼食べようと言ってくれたり、とってもフレンドリーに接してくれて感動しました。初めの頃は、「この留学生はフランス語が通じず、英語しか通じない」とみんなに伝わって、私に話しかけてくる子は英語で話しかけてくれていました。とても親切でありがたいことでしたが、それに甘えていてはいつまでもフランス語力が伸びないと思い、英語で話しかけられても、フランス語で返すということを意識するようにしました。うまくは話せなくてもできる限りフランス語で返すことで、みんなに英語しかできない子ではなくて、フランス語が通じると知ってもらいたかったからです。これを続けていると、1か月経たないうちに、フランス語が通じると気づいてもらえて、みんな英語ではなくフランス語で話しかけてくれるようになりました。その時はとても嬉しかったです。
学校の授業はだいぶ慣れた今も大変ではありますが、先生に話しかけたり、テストのことは交渉したり、自分にできる範囲で頑張っています。初めは周りについていけず焦ってばかりいましたが、フランス人のみんなについていけなくて当たり前だし、大事なことは自分ができる精いっぱいのことを頑張ることだと気づきました。先生方も、私ができたところまでを褒めてくださるのでとてもありがたいです。
私にとって今とても難しい授業は、フランス語と地理、歴史の授業です。フランス語の授業では、小説を取り扱っています。本を読むのは単語を調べながら、みんなの何倍もの時間をかけないといけないのでとても大変です。まずは授業を一生懸命聞いたり、小説をもとにした舞台の動画を見たり、理解を深められるように頑張っています。先月、10月の休み明けから扱っていた小説のテストがありました。みんなは小論文等が出るテストなので、先生が私用にテストを作ってくださいました。本の要約を書いたり、抜き出された一部分についての質問に答えたり、登場人物のことについて書いたりしました。難しかったですが、フランス式の20点満点で13点をとることができ、先生にもフランス語とっても上達したね!と言っていただけてとても嬉しかったです。地理、歴史の授業は日本だと暗記という感じがありますが、ここでは図や文章を読んでまとめたり、説明させられたりすることが多いので、難易度がとても高いです。
どの授業も、授業中は先生と生徒のコミュニケーションという感じで、生徒はみんなとても積極的です。慣れてきた今、私も手を上げて発言したりできるようになりたいなと思います。
11月後半くらいから友達も増えて、学校生活が以前より楽しくなりました。日本のアニメや漫画が好きな人がとても多く、また、「日本ってすごく良い国だよね。フランス人はみんな日本が好きだよ。」と言ってもらえたこともあって、日本人としてとても嬉しくなりました。日本に興味を持ってくれていたり、すでに日本のことをたくさん知っている子もいたり、逆に日本人はフランスのことをどれくらい知っているだろうか?と考えさせられました。自分が帰国するときには、フランスのことをみんなに知ってもらえるように頑張りたいと思いました。
私が「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える時に普段の癖でよくお辞儀をしてしまうのですが、それを友達に言われたときに自分は無意識でやっていたことだったので、やっぱり日本人だなと思いましたし、日本のことをたくさん聞かれたりするようになって、自分の中で日本人であるという自覚が大きく芽生えました。日本で生活しているときには、そのことをいちいち意識はしなかったけれど、日本の外に出てみてそれを実感しました。またフランスに来て、日本人である自分を誇りに思うようにもなりました。
今度、ホストブラザーのクラスに日本についてのプレゼンをしに行く機会を有難いことに作っていただいたので、今はその準備を頑張っています。日本の素晴らしい歴史や文化をもっといろんな人に知ってもらえるように、これからも頑張りたいと思います。
フランスでの冬休み
12月後半から1月の頭まで2週間、冬休みでした。冬休みは、ここでは「les vacances de noël」(クリスマスのバカンス)と呼ぶように、クリスマスのための休みです。学校最終日はみんなクリスマスの帽子をかぶったり、学校もデコレーションがされていたり、街中も1か月前から飾り付けがされていて、みんなクリスマスを心待ちにしていました。「日本でもクリスマスは祝うの?」と聞かれたときには、「クリスマスは祝うけれど、フランスのように家族で過ごすというよりかは、恋人や友達と過ごす人が多い」ということを伝えました。フランスでは家族で過ごすとても大切な日です。
冬休み前半には、お友達の家にお泊りに行きました。いろんなことを話したり、一緒に映画を見たり、とても楽しい時間を過ごしました。来たばかりの頃からずっと親切にしてくれているその友達とそのご家族に、「フランス語本当に成長したね。本当にすごいよ。」と言ってもらえ、嬉しかったです。クリスマスの間は、街を離れて、山のほうにある家でホストファミリーとホストファザーの子どもたちとみんな集まって過ごしました。とても豪華な料理を食べました。ホストマザーがスペイン人ということもあって、パエリアやトルティージャといったスペイン料理に、フランスではとても有名なエスカルゴなどを食べました。とてもほのぼのとした素敵なクリスマスを過ごすことができました。年明けには、雪がたくさん降って、雪山にいってソリをしたり、壮大な雪景色を見ることができて、とても楽しかったです。
フランス語が理解できるようになったことだけでなく、喋りの上達を褒めてもらえることが最近はとても増えたので、語学力が伸びているのかなと自分でも実感してとても嬉しいです。以前からフランス語がもっと上達したら日本語教えてね、とホストマザーに言われていましたが、年が明けてから、ホストマザーに日本語を教えて、私はスペイン語を教えてもらっています。これまでは周りの人の力を借りたり、多くの面で支えてもらってきました。フランスに来て4か月が経ち、折り返し地点に立とうとしている今、今後はさらに交換留学生としての役目を果たし、周りの人への感謝の気持ちを忘れずに、残り約半年も充実した時間を過ごせるように頑張っていきたいと思います。
(文章・写真 2020年フランス派遣 永田絵麻クラークさん)
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