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挑戦でしか人生は進まない 細川倫太郎さん(1997年スウェーデン派遣)

更新日:2021年3月29日

 これまでに数多くの人たちが高校生交換留学プログラムに参加してきました。OB/OGたちの進路やキャリアは多岐に渡っており、それぞれの分野で活躍し、社会に貢献しています。

 今回インタビューを行ったのは、1997年にスウェーデン派遣プログラムに参加された細川倫太郎さんです。細川さんは交換留学プログラム参加後、日本の大学に進学された後、現在は日本経済新聞社の欧州編集局ウィーン支局に務めていらっしゃいます。

 高校時代の留学経験がどのようにキャリアに影響を与えたのか伺いました。

 

細川倫太郎さんプロフィール

1997年スウェーデン派遣

神奈川県鎌倉市出身

和光高等学校2年次の1997年夏よりスウェーデンに留学。帰国後3年次に復学し、慶應義塾大学総合政策学部に入学。在学中、交換留学にてロンドン大学ロイヤルホロウェイ校へ1年間留学。同大学卒業後、2004年4月より株式会社 日本経済新聞社に記者として入社。2017年秋より欧州編集総局 ジュネーブ支局勤務。2020年10月ウィーン支局へ異動。




高校留学だからこそ選んだスウェーデン


Q.交換留学プログラムに参加しようと思ったきっかけを教えてください。

 姉も兄も留学をしていました。姉はオーストラリアへ、兄はイギリスへそれぞれ大学留学をしていました。また、私が生まれる前に父はロンドンに勤務していた経験がありました。私が母のお腹の中にいた時にロンドンにいたこともあり、自分の名前に「倫」が入っています。そういった海外志向の強い家庭環境で育ったので、漠然と自分もいずれは行きたいと小さい頃から思っていました。


Q.派遣国にスウェーデンを選んだ理由を教えてください。

 スウェーデンをすごく希望していたか、というと実はそういうわけではありません。ただ、非英語圏に行きたいと思っていました。英語力の向上を目的とするならば、アメリカやオーストラリアに行くところですが、英語圏は大学でも行けると思いました。高校留学は高校生の時にしかできないような珍しい体験になるはずで、非英語圏への留学というのは年を取ると行きづらくなるんではないか、ちょっとニッチなところにチャレンジしたいというのがまずありました。その中でスウェーデンを選んだのは福祉に興味があったからです。私の祖母が当時在宅介護状態で母が世話をしていたのですが、日本の介護制度で理不尽と思える点などを近くで見ていました。そのため、世界一の福祉国家と呼ばれるスウェーデンを見てみたいと思いました。また、スウェーデンの人は英語が話せる人が多いということも聞き、非英語圏には行くものの、英語力の向上も同時に目指せるのではないかと思い、決めました。あとは個人的にスキーが好きだったこともありますね(笑)。


Q.スウェーデン語は難しいと思いますがどのように勉強しましたか?

 スウェーデン語を学べるところを留学前にすごいたくさん探したんですが、全然見つかりませんでした。当時はまだインターネットとかも普及していませんでしたしね。それで、僕はスウェーデン大使館を訪ねてみました。そうしたら、大使の奥さんの姪っ子がたまたまその時いて、彼女に週に1回家庭教師をしてもらいました。



生きる術を学んだ留学生活


Q.留学生活で苦労したこと・大変だったことを教えてください。

 半年くらいは何もかもが大変で本当に辛かったです。滞在地域は人口15,000人くらいの小さな町で、もちろん日本人は自分だけ。日本での生活とはまったく異なる環境でした。語学もできないのでコミュニケーションも取れない。学校ではなんだか同級生たちがすごく大人に見えてなかなか友人ができず、孤独を感じることが多かったです。

 あと、北欧ならではかと思いますが、夏に到着した頃はまだいいんですが、しばらくすると15時くらいには辺りが暗くなり、朝も10時くらいまで日が昇らないという生活になりました。日照時間が冬は短くて、これが辛かったですね。最初の3ヶ月くらいは、「こんなに辛い思いをしているのは自分だけに違いない」「なんで留学なんて来ちゃったんだろう」と何度も思いました

 そうした辛い状況から救われたのにはいくつかの要素があり、まず1つ目は町のサッカーチームに入りました。真冬の雪の上でサッカーしたりするんですよ。サッカーは元々やっていたので、言葉がなくても交流できたのが良かったです。また、スウェーデンは当時から難民を多く受け入れていて、ホストスクールにもそうした難民の子たちがたくさんいました。彼らは長くスウェーデンにいるのでスウェーデン語も流暢なんですが、僕の気持ちをわかってくれ、助けてくれました。彼らとの交流は、自分には想像もつかないような話をたくさん聞く貴重な機会にもなりました。

 あとは、人間というのは慣れるもので、半年くらい経つとスウェーデン語もある程度話せるようにもなりましたし、生活にも慣れました。留学当初は本当に辛かったのですが、歯を食いしばって頑張ったことがその後の道を拓いたと思います。「若い時の苦労は買ってでもしろ」と言いますが、まさにそうだと振り返って思います。


Q.逆に一番思い出に残っていることはなんですか?

 やっぱりスウェーデンの高校生って日本の子たちと比較して大人なんですよね。そういう子たちと一緒に遊ぶのは刺激的でした。

 学校の授業も日本と異なり新鮮でした。そもそも席がスクール形式じゃなくてコの字で。どの授業でも対話や議論が取り入れられていて、もちろん私はその議論にはうまく参加できないんですが、そこにいること自体に大いに刺激を受けました。

 それから自然が豊富でした。近くに湖や森があったりして、自然の中で遊ぶことが多かったのですが毒キノコの見分け方を教えてもらうこともありました。それから、スウェーデンは物を大切にする文化が強く、物が壊れてもすぐに買い替えたりはせずに直すということが、家庭や学校においても徹底されています。私も自転車のパンクを直したりしました。大袈裟かもしませんが、生きる術みたいなものを教わったように思います


Q.高校留学と大学留学はどのように違いましたか?

 高校留学と違って大学留学は単位取得が目的ですから、課題も多かったですし授業が本当に大変でした。逆に高校留学の時にあった文化面での辛さはなかったですね。大学留学で英語圏に行けたので、高校留学でスウェーデンを選択したのはよかったな、と思いました。



挑戦でしか人生は進んでいかない


Q.高校留学の経験は今の自分に、どのように影響を与えていますか?

 今私は新聞記者をしていますが、記者というのは人と会って話をする仕事です。外に出て行くことで、自分とは違う人たち、文化を知ることは楽しい、興味があると思えたのはスウェーデン留学を通して思ったことです。

 あと、スウェーデンに留学したというのは、エピソードとしてインパクトがあるようで色々な場面で役立ちました。例えば、面接でも「え、高校生の時にスウェーデン留学?」と食いついてもらえたり、人と知り合う際にも覚えてもらいやすくて話題作りには困らないです。そういった副産物もありました(笑)。

 精神的には粘り強くなったと思います。留学当初は本当に暗黒時代だったんですが、留学は10か月で終わりがあると思って頑張りました。期間限定だからこそ耐えることができたんだと思います。



Q.交換留学を検討している高校生にメッセージをお願いします。

 今私はヨーロッパにいるので色々な国籍、バックグラウンドの人と出会い、仕事をしています。これからの日本も間違いなくそうなっていくでしょうし、隣人が外国人というケースも増えていくでしょう。そういう社会で生きるのに留学体験は必ず役に立ちます

 そしてもし海外で働いたり、グローバル企業や国連のような国際組織で働きたいと希望するのであれば、高校生のうちに多様性に溢れた環境に慣れておくこと、そしてそういう環境の中での競争力を磨いておくこともとても大切だと思います。

 留学は辛かったり壁にぶち当たることもあると思います。でも、それも含めて日本で生活していたら出会えないような、将来に繋がる挑戦に溢れています。挑戦を続けることで見える景色が変わっていきます。ちょっと失敗してもそれで人生終わるわけではないし、うまくいけばそれが糧になります。私は結局挑戦でしか人生は進んでいかないと思っています。一歩踏み出さなければ何も始まりません。もしあなたが留学に行くことを迷っているならば、ぜひその一歩を踏み出してください。

 

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