~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第5回 アイルランド派遣生M.Aさん

最終更新: 10月26日

世界を震撼させた新型コロナウイルス。

その影響はあらゆる分野や人々に広がっており、EILのプログラムを通して海外で学ぶ留学生たちも、大きな影響を受けました。


一年間の交換留学プログラムで2019年夏に出発し、現地滞在中だった留学生たち。

3月時点で、一部の派遣国の受入団体にて、継続的な安全確保が難しいとして、プログラムの中止が決定されました。

それ以外の派遣国に派遣されていた生徒たちについても、EILとしては早期帰国を推奨する通知を行いました。

しかしながら、急速に感染が拡大した都合で、派遣国内に行動制限が敷かれて空港まで移動できなかったケース、空港のある都市部への移動や空港、復路の飛行機内での感染のリスクがあると判断されたケースを含め、一部の派遣生および保護者は受入団体およびホストファミリーの合意もと、留学を継続する選択をされました。

留学継続を選択した留学生には、EIL職員が現地状況の情報収集に努め、定期的なヒアリングを続けながらサポートを行い、無事に全員が帰国を果たしました。


Experimentersでは、期せずしてコロナ禍を海外で過ごした派遣生たちに、それぞれの体験について聞きました。

マスメディアの報道では見えてこない、 実際に留学生が体験した、各国の人々のコロナ禍の暮らしの様子を、ぜひ読んでいただければと思います。


第5回目は、アイルランド派遣生M.Aさんからの報告です。


過去の記事はコチラ!

~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第1回 スウェーデン派遣生C.Tさん

~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第2回 スペイン派遣生H.Oさん

~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第3回 カナダ派遣生H.Sさん

~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第4回 オーストラリア派遣生H.Tさん

滞在地域の様子の変化について教えてください。 いつ頃からどんな風に変わりましたか?何か行動規制はされましたか? アイルランドでは、3月の初め頃から学校や、家の中でコロナウイルスの感染拡大についての話題がよくあがるようになりました。 その頃、初めてのアイルランドでの感染が確認されました。 そこからどんどん感染が拡大していき、3月13日(木)その日当日に学校が2週間休校することが決まりました。その後、何度も休校期間が延び、最終的には夏休み終わり(9月)まで休校することが5月頃に決まりました。

3月の初め頃から、入国に対しては徐々に制限がかかるようになり、その後Stay home が大々的に言われるようになり、外出は半径2km以内の散歩、買い物のみとなりました。


学校生活に変化はありましたか? 3月13日(木)から休校になりました。唐突だったので、いくつかの荷物を学校に残すこととなってしまいました。 オンラインで課題等が配布されたのですが、初めの1ヶ月ほどは、学校のアカウントを留学生は持っていなかったため、課題は休校前に配布された物のみをし、オンライン授業にもまた参加出来ていませんでした。 その後学校に直接連絡をし、オンライン授業に参加しました。課題はオンラインで届き、その中でWordや写真を送るなどしていました。また、5月の末には、Summer examをオンラインで受けました。


コロナ禍で感じた国民性について教えてください。「その国らしさ」を何か感じましたか? 初めの頃はあまり感じませんできたが、後、だんだんアイルランドの国民性なのかな?と思うことが増えてきました。

ロックダウン直後はテレビでも何度もstay home, keep distanceと報道されていた事や、不安があったこともありステイホームやソーシャルディスタンスを徹底していたように思いました。しかし、5月の半ば、1度お土産を買うためにスーパーマーケットへの買い物にホストマザーと行ったところ、入場制限や2メートルの間隔をあける等は徹底されていたのですが、ほとんどの人がマスクを付けていませんでした。その代わりに多くの人は手袋をつけていました。

ホストファミリーになぜマスクをつけないのか聞いたら、「普段つけないから今この時期に付けているとまるでコロナウイルスを持っているように思われそうでちょっとね、」と答えれくれました。 アイルランドでは、マスクを付けるのがあまり一般的ではなく、それが本当に感染症対策になる、と思っている人は少ないのかな?と思いました。

また、同時期ぐらいからコロナウイルスのロックダウン期間が伸びているためか、ホストファミリーのステイホーム・ソーシャルディスタンスへの意識が薄くなってると感じ始めました。家にホストマザーの友達が来たり、親戚のお家へ行ったり等、何人かで集まることが増えてきました。 その頃はコロナウイルスもだんだん落ち着いてきていたためか、まるでいつもどうりのような生活をしていました。

これらのことは日本でも言えるのですが、アイルランドのコロナ状況はかなり深刻だったにも関わらず、意外とみんなのんきなのかな?と思いました。


コロナ禍で留学を継続することに不安はありませんでしたか?

決断までに誰とどんな相談をしましたか?

私は、今思い返してみてもこれといった不安は感じなかったと思っています。強いていえば、ロックダウンで仕事が出来ない中、私の食費や光熱費等、私にかかるお金に対する心配はありましたが、コロナのロックダウンの中での生活にはとくに不安を感じませんでした。

EILの方から留学生へ、帰国するかどうかのメールを朝起きて見た時、私はパニックになってしまい、ホストファミリーたちに相談する前に、まず母に電話をしてしまいました。こんな内容のメールが来た、ということを話し、私はどうしたらいいかを聞きました。今考えると、その時にもう私の中では何となく、帰国するという選択肢はなかったような気がします。母と少し話した後、起きて支度をし、ホストマザーにもその事を伝え、どうも思う?と聞きました。その時ホストマザーは、「みかが帰りたいなら止めないし、残りたいなら何も心配しなくていいし、私たちはいつでもずっとウェルカムだよ。でもだから残って欲しいって強要しているわけじゃないから、まだ時間はあるからゆっくり考えてみてね」と私を安心させてくれました。その後ローカルコーディネーターとも電話をし、ホストマザーのようなことを言ってくださり、そして、私は残ろうと決心をしました。

その後数人の日本のEILの友達ともこれからどうするかを話しましたが、とくにそれで決心が揺らぐこともなかったように思います。


コロナ禍を海外で過ごした感想を教えてください。

私は、不謹慎かもしれませんがこのコロナ渦でロックダウン生活をおくった2ヶ月半をとても印象深く、良い経験になったと思っています。1番はやはり、ホストファミリーととても親密になれたことだと思います。学校があった時は、勉強や、放課後アクティビティなどやることがたくさんで、また、週末は友達と街へ出かけることがほとんどでした。コロナでステイホームが広がってから、今までまったくホストファミリーとの時間を取れていなかったことに気づきました。ロックダウン中はほぼ毎日のように6歳のホストブラザーのジェームズと一緒に、庭でサッカーをしたり、ショベルカーなどの玩具でままごとをしたり、マインクラフトをしたりして遊びました。また、私のホストファミリーはロックダウンで仕事が出来ないから今出来ることをしよう、と考え様々なことをしました。その時に、私も手伝っていい?や一緒にやりたい、など声をかけ、一緒にいろいろなことをしました。そのなかでも1番印象に残ったものは、ホストファザーが割った薪を一輪車で少し上がったところにある倉庫まで持っていく作業をしたことです。今まで生きてきた中で、これ程の重労働はしたことはないと思います。5日間かけて、大量にある薪をホストファザーとホストブラザーと一緒に片付けをしました。終わったあとの達成感や、ホストファミリーととても仲よくなれたことはいまでも忘れません。しかし、もう2度とやらないと誓った仕事でした。

その他にも、今まで時間が取れない、などと言い訳をし、ずっと出来ないでいた日本文化を紹介することも出来ました。私はずっと習字を習っていたので、習字道具を1式持っていき、いつか見せたい、一緒にやりたい、と思いながらも出来ないでいました。しかし、このコロナの期間で「見せたいものがあるんだけど…」と切り出すことができ、初めはホストマザーに書いて見せていましたが、気になったホストブラザーがやってみたい、と興味を示してくれ、一緒に習字をすることが出来ました。また、習字を気に入ってくれたので、やって良かったととても思いました。さらに、日本へ帰国前になにもプレゼントを買うことが出来なかったため、ホストファミリーのケビン、メアリー、ジェームズ、それぞれの名前を意味まで細かく考えて漢字の当て字をつくり、それを習字で書いたものと折り紙で作ったくす玉を、手紙と一緒にプレゼントしました。 ホストファミリーはそれをとてもとても喜んでくれ、本当にやってよかった、この機会があってよかった、と感じました。

また、私のホストファザーはショベルカーの操縦士で、ホストファミリーの庭の工事をする際に知り合いから借りたショベルカーを持ってきていました。とてもかっこいい!と何度もホストファミリーに言っていたら、「操縦してみる?」といってくれて、人生で初めてショベルカーに乗る、という体験をしました。

ホストブラザーはショベルカーなどの重機が大好きで、私よりも遥かに詳しく、操縦の仕方を丁寧に教えてくれました。

このように、コロナのお陰でアイルランドでしか出来ないことをたくさんし、様々な経験を得ることができました。

また、私自身も自らすることを考え、外で模写をしてみたり、ホストブラザーと明日は何をして遊ぼうかな、と考えたり、どんな手伝いができるか考え、○○してもいい?とホストマザーやファザーに聞いてみたり、学校生活のなかではほとんど出来ていなかった、自発的考え、行動することができたと感じています。

家にいるだけしか出来ないけれど、逆をいえば、ホストファミリーと何日間も共に朝から晩まで生活することが出来る、そんな生活をすることは、ただの留学生活では絶対に出来なかったと思います。このコロナの生活をするまでは、なにか私の留学生活で達成出来たこと、と考えた時に何も思いつきませんでした。今までの自分に足りなかったものを見つれられたこと、ホストファミリーと様々なことを出来たこと、自発的に行動することが出来たこと、私はたくさんのことをこの2ヶ月半で経験することが出来ました。ただ家にいるだけと考えればとても長いような2ヶ月半が、私にとってはたった2ヶ月半しかないのに今までの留学生活の中で1番濃いものとなりました。



(写真・文/2019年度アイルランド派遣生 M.A)

いかがだったでしょうか?

最終回となる次回は、アルゼンチン派遣生、M.Mさんからの報告をお伝えします。


EILでは、高校生交換留学プログラム2021度派遣生を募集しています!詳しくは、こちらをご覧下さい。

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EILのプログラムを通して、国際交流体験をしてきた人たちの、その体験、

そしてその体験がその後にどう活かされたかを伺いました。

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