2024年の夏から、令和6年度「国際性に富む人材育成留学事業」(沖縄県)の台湾派遣プログラムに参加している内間野恵さん。今回、ご自身の留学体験を多くの方と共有したいと、レポートを書いてくださいました。
滞在先の高雄は出身地の沖縄と似ていることも多いそうです。言語のことや学校のことなど、台湾での留学生活について書いてくれました。ぜひお楽しみください!
はじめに
大家好、2024年台湾派遣生の内間野恵です。沖縄からは日本本土よりも近い台湾に留学しています。実際に生活してみると文化の相違点や新しい発見が多く、とても刺激的です。台湾での生活や経験をまとめましたので、ぜひ読んでみてください。
生活
私の留学先である高雄は、台湾南部に位置する港町で主要都市の1つです。沖縄と気候が似ているのですが、時々靄がかかっていおり、空気が美味しいとは言えないです。人口は約273万人で沖縄の約2倍です。公共交通が整備されており、新幹線、電車、MRT、バス、U-bikeなどがあります。家から学校までMRT、バス、U-bikeを使って1時間ほどで、便利な交通機関を有効に使っています。出発が予定よりも少し遅れたこともあり、高雄に来てまだ3ヶ月ほどしか経っていません。ホストファミリーはホストママだけで、台湾で日本の企業に勤めているので日本語を少し話せます。そのため、中国語で意味がわからなかったら日本語で意味を教えてくれます。
私はバスケ部に所属していて、放課後には練習があります。学校から家まで距離があるため、家に帰るのが夜8時を過ぎることも珍しくありません。一方で、ホストママも夕方はジムや英語の授業に通っているため、帰宅する頃には私はすでに寝ていることもあります。ホストママと一緒に過ごす時間はとても貴重だと感じ、日々の出来事をカタコトの中国語でホストママに伝えられた日は、特に良い1日だったと感じます。街を歩いていると自分が留学していることを忘れてしまうほど、台湾は沖縄と似ていると感じます。しかし、ふと目に入る看板の文字や、すれ違う人々の会話から聞こえる中国語で、留学に来たことを実感します。留学生活の中で孤独を感じることもありますが、その一方で、普段の生活では気付けなかった周囲への感謝の気持ちや、これまで多くの人に支えられてきたことを改めて強く実感しています。そうした思いがあるからこそ、前向きに毎日過ごせています。
言語
私は高校卒業後、台湾の大学に進学したいと考えていたため、留学前から少し中国語を学んでいました。この留学は、その進路をさらに具体的で実現可能なものにしてくれる貴重な経験になると感じています。 以前、中国の上海への短期留学で中国語を学ぶ機会があり、基礎は中国大陸で使われている簡体字で身につけました。しかし、台湾と中国では使う単語や言い回しに違いがあるため、台湾に来てからはホストママが私の中国語を「台湾バージョン」に直してくれています。初めは見慣れない繁体字に加え、中国語が全く話せなかったこともあり、英語で会話をしていたため、日常生活で接する情報量の多さに圧倒され、家に帰ると倒れるようにベットに入る日々が続きました。しかし、1、2ヶ月経つと生活に慣れてきて、中国語で友達に質問したり、日々の出来事をホストママに伝えたりしたら、意外と知っている文字や単語が増えていることに気付き、自分の成長を感じることができました。
中国語を学ぶ中で、特に難しいと感じたのは「四声」です。音のトーンが意味を左右するため、発音を間違えると伝わらなかったり、正しい音を理解していないとリスニングが難しかったりします。その壁に直面したときは苦労しましたが、学校では週に2回、先生と一緒に音読の練習をする授業があります。このレッスンのおかげで、少しずつ発音が改善され、自分の中で自信が芽生えてきました。 3ヶ月経てばある程度話せるようになると言われていますが、私の会話力はまだ未熟で、帰国後に本当に中国語を習得できているのか不安を感じています。それでも、日々の生活の中で少しずつ確実に進歩していることを実感しています。中国語を話す楽しさや学ぶ喜びを感じながら、これからもさらに成長していきたいと思います。
人間関係
ホストママの弟家族には、日々本当にお世話になっています。ホストママの弟とその奥さんはアウトドアが大好きで、特に登山が趣味です。彼らも留学生を受け入れており、現在は15歳のフランス人の男の子がホームステイしています。彼は私と同じ高校に通い、学年は1つ下です。母国語はフランス語以外に、英語、ドイツ語、ロシア語、イタリア語を話せるという語学の達人です。彼と初めて話したとき、フランス語訛りの英語で早口だったため、緊張でうまく言葉が返せず、大変でした。また、私が彼より2週間早く台湾に到着していたため、学校までの道順を教える役割を任されましたが、自分の英語力の未熟さからとても苦労しました。それでも、1か月が経つ頃には彼の英語に慣れた上、彼の性格やユーモアを理解できるようになり、自然と会話ができるようになりました。最近では、お互いの中国語が上達してきたこともあり、中国語でコミュニケーションを取るようになりました。言葉の壁を越えるたびに、少しずつ彼との距離が縮まっていくのを実感しています。
私のクラスは男女比が5:5で、これまで経験したことのない男の子の多さに初めは驚きました。クラスは常に賑やかで、時にはその騒がしさに圧倒されることもありましたが、留学生に慣れているクラスメイトが多く、初日から話しかけてくれたおかげで、すぐに馴染むことができました。特に男の子たちはバスケットボールが好きで、体育の時間に一緒にゲームをするうちに、すぐに仲良くなれました。ただし、シャイな子も少なくなく、最初は話しかけても無視されることがありましたが、1か月ほどで彼らも心を開いてくれるようになり、今では初対面の頃のぎこちなさが嘘のように普通に会話を楽しめています。
バスケ部はマネージャーを含めて19人が所属しています。練習にはよくOBやOGがきて試合をするので、賑やかでとても楽しいです。練習後にはコーチも含めてみんなで夕食を食べに行くことがあり、その時間を通じてチームメイトとの絆を深めています。コーチやチームメイトは私のことをとても気にかけてくれます。練習試合で肉離れをしたときには、病院に付き添ってくれ、サポートにとても感謝しています。彼らとはまだ出会って間もないにもかかわらず、ずっと友達だったかのような感じで仲良しです。そのおかげで、気持ちが落ち込む日でも、バスケットボールを通じて仲間たちと笑い合いながら乗り越えることができています。彼らと過ごす日々が、私の留学生活をより充実したものにしてくれています。
学校
私が通っている高校は、全校生徒約1350人の普通校で、高雄で4番目に進学校とされている学校です。授業形態は基本的に日本と同じでした。私は2年生の「バイリンガルクラス」という理系クラスに所属しています。このクラスは少し特殊で、高校3年間、基本的にメンバーがほとんど変わりません。ただし、成績を維持できればそのまま在籍できますが、成績が悪い場合は他のクラスへ移動する仕組みです。私が沖縄にいる時に通っていた高校と共通点が多く、すぐに学校生活に慣れることができたのでラッキーだと感じています。授業の一部は英語で行われるため、自然と英語を使う機会が増えます。クラスメイトも英語が第2言語であるため、会話のペースが似ており、無理なく意思疎通ができる環境です。この安心感から、英語での会話も気負わずにできます。また、先生が留学生であることを考慮してくれて、化学や物理などの授業はオンラインで英語で受けており、学びの幅が広がっています。
台湾の学校には給食制度があります。台湾のご飯は八角などの独特のスパイスが効いており好き嫌いはっきり分かれると聞いていたので、口に合うか不安でした。また、一部の子は給食が美味しくないと学校のお店で買うこともよくあります。私の場合、初めは独特の味付けに驚きましたが、すぐに慣れ、とても美味しいと思います。日本にいた時は苦手で絶対に食べなかった野菜は、台湾の味付けだとパクパク食べてしまい、いつの間にか苦手を克服していました。ご飯時間は30分しかないのですが、その後に30分間の昼寝時間があり、リフレッシュできます。
12月の初めには、体育祭と文化祭がありました。日本の学校行事と比べると準備期間が短く、自由でのびのびとした雰囲気が特徴的でした。体育祭では陸上競技がメインで、個人競技やクラス対抗リレーが行われました。クラス全体で協力し合い、応援する姿がとても印象的でした。文化祭では、1・2年生の全クラスが屋台を出店し、クラブごとのアクティビティも充実していました。私はクラスメイトと一緒に文化祭を回り、友人が所属しているゴルフクラブを手伝ったり、自分のクラスのお店で接客したりして過ごしました。ただ、この頃風邪が流行しており、私も文化祭当日に風邪を引いてしまいました。それでも、「一生に一度の台湾の文化祭を楽しみたい」という思いで参加し、頭痛を抱えながらもなんとか1日を乗り切りました。翌日には症状が悪化して動けなくなってしまいましたが、それでも楽しい思い出ができたことに満足しています。台湾での高校生活では、早くも大きなイベントに参加でき、充実した日々を送っています。これからの留学生活も、新しい挑戦や出会いがたくさんありそうで、とても楽しみです。
(写真、文:2024年度台湾派遣生 内間野恵)
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