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2度のフィンランド留学を経て 小久保茉央さん(フィンランド派遣)

更新日:2024年11月27日

 2019年夏からEIL高校生交換留学フィンランド派遣プログラムに参加していた小久保茉央さん。大学でもフィンランドへ留学したそうで、今回はその体験談を寄せてくれました。


 高校と大学両方でフィンランドを選んだ理由や、2度の留学を通して感じたこと、高校時代のホストファミリーとの再会について書いてくれました。ぜひお楽しみください!

 

 「どうしてフィンランドに留学したの?」

EILの交換留学プログラムでも、大学の交換留学でも幾度となく聞かれた質問です。

これは、なぜそんなにもフィンランドが好きなのかという自分に対する疑問でもありました。

 

 私は2019年8月から2020年6月まで、EILの高校生交換留学プログラムでフィンランドに10ヶ月間滞在しました。大学に入学し、大学の義務留学を再びフィンランドで10ヶ月経験しました。現在は大学3年生がちょうど終わろうとしているところです。

 

 フィンランドに出会ったのは、小学校5年生の時で、自治体が主催するフィンランド派遣研修に1週間参加したことでした。これは、私にとって初めての海外での経験でした。目に映るもの全てが新しく、今でも湖畔から見た湖の景色は忘れません。その記憶と感覚が忘れられず、またいつかフィンランドに行きたいと思っていた時に、EILの留学プログラムを見つけ、すぐに応募しました。行きたい国の欄には第1希望の「フィンランド」だけを書いて提出しました。それくらいにフィンランドに行きたかったのです。でも、この時もなぜこんなにもフィンランドに惹かれているのか分かりませんでした。ただ直感的に、どうしても行きたい場所で、経験したいことだったのだと思います。

 ありがたいことに、2019年の8月からフィンランドへの高校生交換留学が決まりました。そこでの日々は、新しい文化に触れることはもちろん、自分や日本について客観的に立ち止まって考える機会になりました。ホストファミリーや友達にも恵まれ、コロナがあったにもかかわらず、幸せな10ヶ月間でした


EILの高校生交換留学の写真。フィンランドの高校行事で、ドレスを着てダンスをする。

 そして、大学ではヘルシンキから約800km北にあるロバニエミという町に滞在しました。ラップランド大学ではソーシャルサイエンス学部に所属していました。近くにはサンタクロース村があり、冬にはマイナス30度になります。

 大学での留学は、高校留学と全く違う経験をすることができました。まず大学留学は、ホストファミリーと過ごす高校留学とは異なり、寮生活です。私はチェコからきた留学生とルームシェアをしていました。そういった意味で、大学での留学は、フィンランドの文化を知るというより、いろんな国から来た人々と関わる経験が多かったです。例えば、イタリアからの留学生がピザを振る舞ってくれたり、友達と日本食を一緒に作ったり。

 また、高校生の時の自分よりも、英語に自信があって、自分から積極的に話しかけに行くことができている実感がありました。高校留学を経験したからこそ、現地の生活に慣れるのも早く、新しいことにチャレンジできたと思っています。



 そして、ホストファミリーがいて、現地の学校に通う高校留学に比べ、言語に関しても大きな違いがありました。高校の時は、ほとんどフィンランド語で会話をしていました。しかし大学では、授業を受けるのも、他の留学生と話す時も基本的には英語を使います。高校留学に比べると英語を話す割合が圧倒的に多かった印象です。

 今回の留学でフィンランド語のスキルを上げたかったので、自ら意識的にフィンランド語を話す機会を設ける必要がありました。大学で開講しているフィンランド語の授業をできる限り受講しました。もはや語学学校に通っているレベルで、ほぼ毎日フィンランド語の先生に会っていました。そして、地域のチアリーディングチームや絵画教室に入ったり、お互いの言語を教え合うLanguage Partnerのプログラムでフィンランド人の友達を作ったり、地域のボランティアセンターで働きました。こうしてコミュニティに入っていくことに、高校生の私だったら躊躇していたかもしれないな、と思う時が度々ありました。でも、高校留学で身につけたフィンランド語とコミュニケーション能力が大きなパワーとなって、一歩を踏み出す勇気を与えてくれました。そのおかげで、2回目の留学でも、フィンランドへの新しい発見や気づきは絶えませんでした。


フィンランド内の図書館で風呂敷のワークショップをお手伝いしました

 また、休暇中は高校留学時代のホストファミリーと友達の家に遊びに行きました。いつも暖かく迎えてくれて、会うたびに本当の家に帰ったかのような安心感を感じ、元気をもらっていました。高校生の時よりも、フィンランド語を話せるようになって、より一層家族や友達との距離を縮めることができました。高校留学時代の友達と、いつも行っていた森にハイキングに行ったり、コテージでサウナに入ると不思議な気持ちになりました。またこうしてフィンランドにいることができて、大切な人々に囲まれていることが本当に幸せでした。ホストファミリーや友達の家で過ごす時間は、フィンランドの文化に溶け込んで、大学にいる時とは全く違う体験ができます。


高校留学時代のホストファミリーと過ごすクリスマス

 一方で、高校留学の時より悩むことも多くありました。自分と向き合う時間が多い分、これから自分は何をしたいのか、自分には何ができるのか、冬の暗さとともに将来への悩みが襲ってきました。友達に話してみたり、ノートに書き出したことで、気持ちが楽になりました。今となっては、自分の心と向き合う方法を知るいい機会になったと思っています。


 高校留学の時は、現地の人と家族との連絡以外取りませんでした。日本の友達とは手紙でやり取りしていました。だから、自分が留学中にどんなことを経験したのかを家族や友達はあまり知らなかったと思います。ただ、見たものや感じたことを残したかったので、毎日ノートに日記を書きました。今回の留学では、フィンランドでの経験を自分の中に留めずに、言語化してシェアすることを続けました。記事を執筆できるnoteというプラットフォームで留学日記をシェアしていると、記事を見て、インタビューをしたいと声をかけていただいたり、新しい出会いもありました。フィンランドの話をするときに、自分は本当にフィンランドが好きで、フィンランドにいる自分が好きなんだな、と気づきました。「なぜフィンランドが好きなのか?」を考えることは、私の過去を振り返り、自分がどういう時に幸せを感じるかに気づくことでもあります。


友達と過ごしたサマーコテージの夕日

 高校留学でしか経験できないこと、それと同時に、大学留学でしか経験できないことがありました。正直、どちらが良かったかは決められません。高校留学を経験したからこそ、より深く鮮やかな景色を見ることができたと思います。今までの選択が間違いではなかったと思える留学経験ができたことが、私の自信となって、次の新たな挑戦への励みになっています。留学生活は、怠けようと思えば怠けることもできます。限られた留学期間をどのようにするかは自分次第という、プレッシャーと向き合い続けなければなりません。しかし、よく考えてみるとそれは留学期間だけでなく、人生の時間にも置き換えることができます。限られた時間の中で、自分は何を経験したいのか、成し遂げたいのか。留学はなんとなく過ごしてきた日常を振り返り、新たな方向性を決める大きな機会です。迷ったときは、難しく考えず「今しか、ここでしか、自分しか」できないことを選びます。そうすることで、一瞬一瞬を充実した時間にすることができました。

 これから留学へ行く人へ、思いっきり楽しんできてください!行く前に抱えている不安は、行ってみたら大したことないものばかり。それよりも目の前の時間を大切に。日本では美味しいご飯をたくさん食べてから、出発することをお勧めします。

(写真、文:2019年フィンランド派遣生 小久保茉央


 

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