【高校生交換留学体験談】M.Nさん(フィンランド派遣)

EILの奨学金制度の一つ、「EIL留学帰国生報奨制度」は、交換留学生としての役割を十分に果たし、活躍した生徒のために設けられた報奨制度です。


本日は、2020年度夏に出発し、今年の夏に帰国したフィンランド派遣生M.Nさんの留学体験談をご紹介します!

EIL高校生交換留学プログラムの2020年夏派遣プログラムは、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、原則としてすべて中止となりましたが、一部プログラム参加の強い希望をいただいた生徒については、派遣先国の状況も見ながらプログラムを催行しました。そんなコロナ禍でのフィンランド留学を振り返っていただきましたのでぜひご覧ください。

 フィンランドへの出発

 私の留学は、コロナ禍で諦めるしかないかもしれないという思いもあった分、嬉しさで心が踊り同時に例年とは違うであろう留学生活に緊張も感じながら、慌ただしく始まりました。フィンランドに到着して、入国者はすぐ無料でコロナ検査を受けることができ、犬の嗅覚を使って検査するものなど様々な方法の検査が行われていることにとても驚きました。空港まで迎えに来てくれたホストファザーとシスターとともに家に向かう道のりは、建物や道路が横に広く木々が常に並んでおり、人口が多い日本の都心とは異なる様子で、フィンランドに来たことを改めて実感しました。


ホストファミリー

 ホストハウスは、海と丘どちらもが家からすぐそこにある自然豊かな小さな町にありました。ホストファミリーは、父、母、妹、弟、そして離れたところに住んでいる姉の五人で、犬が三匹いる家族でした。最初の二週間の自主隔離中は携帯のネットトラブルで連絡が取れず日本側には心配もかけてしまいましたが、家でホストファミリーと話したり近所を散歩したりして、現地の生活に慣れていきました。プラネタリウムのように綺麗な夜空や、一面に広がる海、四季の移り変わりを感じさせてくれる森に囲まれ、サウナやコーヒーで一息つく時間があるフィンランドでの生活は、毎日を慌ただしくがむしゃらに過ごしていた私には無かったものでした。今考えるとそんな私だったからこそ必要だったものだと感じるほど、私はフィンランドで過ごした穏やかな時間の中で多くのことを気付かされ、自分の心に余裕を持つことができました。



学校生活

 隔離の二週間後からは学校が始まり、私は高校二年生のクラスに配属されました。担任の先生と合流したあと、校内を周り、小さな学校だったので先生や生徒一人ひとりにも紹介してもらえました。フィンランドの高校は科目選択制なので、クラスがあると言っても、実際は常にクラスメートと一緒ということはなく、同じ科目をとっている人との関わりが主になります。留学開始が予定より遅れたため二学期目からの登校でしたが、初日に紹介してもらえたおかげで色んなクラスの人との関わりを持つことができ、どのクラスでも顔見知りがいて友達が作りやすくとても助かりました。フィンランド人はとてもシャイですが、こっちから話しかけて仲良くなりたいというのが伝われば心を開いてくれる人ばかりで、正直、コロナの影響で差別などもあるだろうと覚悟していたのですが、予想とは真逆でとても温かく受け入れてくれ、環境に恵まれたことを有難く思いました。高校のシステムは日本とは全然違い校則がなくとても驚きましたが、その分生徒一人ひとりが良し悪しを考えて行動しているように感じました。学校では空き時間や昼休みに友達と過ごしたり、放課後や休日は家族とランチに行ったり散歩をしたりしていました。




 留学に行って二ヶ月ほどして、フィンランドのコロナの状況が悪化したため、授業がリモートで行われることになりました。幸いフィンランドの学校では普段からパソコンを使うことが多く慣れてはいましたが、やはり現地の言葉での授業を一人で受けるのは予想以上に大変で、授業についていけなくなることもよくありました。先生や友達に個別で教えてもらってやっと理解でき、毎日の課題も以前の何倍も時間がかかることも多かったです。

 

ホストチェンジを経験して

 家族や友達と過ごす時間はとても充実していましたが、コロナでできることが少ない中、交換留学生としてもっとできることはないのかと悩むこともありました。三ヶ月ほど過ぎた頃、コーディネーターの方と過ごすことになり、三日間観光に連れて行ってもらいました。彼女とは、現地についてすぐ家に来てもらいルールを確認したり、時々現状報告をしたりしていましたが、実際に長い時間一緒に過ごすことはなかったので、最初は緊張していました。二日目の夜彼女から大事な話があると言われ、私を預かることの責任が重くギブアップをしたいというホストファミリーの意思を知らされました。コロナが悪化していく中で、ホストファミリーとは何度か意思を話し合っていたので、両親とも多くの人と関わる仕事をしていることもあり不安を感じていたのは知っていたのですが、あまりにも突然のことでショックが大きかったです。落ち込んでしまいそうでしたが、コーディネーターが動揺していた私を気遣ってくださったおかげでネガティブな感情を抑えることができ、次の日ホストハウスに帰りました。ホストファミリーとコーディネーターと話し合い、一週間後に家を出ることになりました。


 最後の一週間、学校に行き友達や先生に転校することを伝えたり、一人暮らしをしているホストシスターも帰ってきてくれて家族みんなで過ごしたり、別れの悲しさがありつつも、別れを悲しんでくれるほど大切な人たちと留学生活で出会い関係を築けたことを嬉しく思いました。その後、次のホストファミリーが決まるまで、コーディネーターの家に滞在させてもらうことになりました。このとき、コーディネーターの家族が快く歓迎してくれたおかげで、環境が変わることをポジティブに捉えることができ、新しい環境にも勇気を出して踏み出すことができたと思います。



 引越し後は、ホストファミリーになってくれる予定の家族と顔合わせをしたり、転校先の学校の先生と打ち合わせをしたり、前の学校の友達と過ごしたりし、四学期から転校先の学校の授業に参加しました。最初の学校は小さかったので殆ど全員知り合いでしたが、新しい学校は規模が大きいうえに、リモートでのスタートだったので、私は授業の中で留学生として自己紹介しましたが、生徒との関わりがないまま最初の数週間を過ごしました。新しいホストハウスに引っ越してから、ホストファミリーが知り合いなどのつてで何人か生徒を紹介してくれて、SNSをつかって徐々に関わりを増やしていきました。今までのことを振り返りこれ以上同じ後悔をしたくないと思い、ポジティブに積極的に常にYESの精神で、行動範囲を広めたり、知り合った人たちとも自分から誘って仲を深めたり、ホストファミリーにももっと自分をさらけ出したりしました。周りの人が協力的だったことも相まって、新しい経験をすることが増え、より充実した生活を送ることができ、留学当初の自分に自信をつけるという目標も少しずつ達成に近づいたと思います。


現地の優しさ

 留学から六ヶ月がたった頃、一人で家でリモート授業を受けていた私は、病気だった祖父の訃報を聞きました。頭が真っ白になり、悲しみに暮れどうすればいいのかわかりませんでしたが、ホストファザーが急いで駆けつけて話を聞いてくれたり、コーディネーターが祖父のためにキャンドルを灯してお花を贈ってくれたり、辛かったときにもらった優しさは今でも忘れられないほど、有難く温かいもので本当に心強かったです。四月末、約五ヶ月の長かったリモート授業も終わり、遂に登校が始まりました。待ち合わせをしていた先生と友達と合流し、中を案内してもらった後、授業を受けました。最初は緊張してあまり声を掛けることができなかったのですが、毎日沢山の人に声を掛けてどんどん友達も増え、リモートの頃とは比べ物にならないほど多くの人と出会うことができ、出会いが増える分経験も増えていきました。


最後に

 留学生活大変なことも多くありましたが、そのおかげで大きく成長し強くなれたと思います。また、学校や家だけでなく様々な場所で、日本や自分を紹介したりフィンランドの文化を学んだりするギブアンドテイクの機会をもらい、交換留学生としての使命を果たすことができたように感じます。フィンランドは日本とは遠いのに何故か似ている文化があり、かと思えば全く異なる考え方や価値観がありました。そこでの留学生活は、第二の母国と言えるほどリラックスでき、また、自分の中での当たり前について何度も考え何度も覆させるものでした。そこでの学びや経験は本当にかけがえのないもので、支えてくれた人たちには本当に感謝しています。





(写真・文/2020年度フィンランド(夏出発)派遣生 M.Nさん)

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