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【高校生交換留学体験談】井上咲春さん(アメリカ派遣)

 2022年7月よりEIL高校生交換留学アメリカ派遣プログラムに参加している井上咲春さん。多くの方にアメリカでの留学生活をお伝えしたいと、レポートを書いてくれました。今回は、学校生活や、ホストファミリーとの様子を書いてくれました。ぜひお楽しみください!

 

 初めまして。EIL交換留学生としてアメリカのフロリダ州に留学している、井上咲春です。今回、私が書いたレポートをウェブマガジンに掲載していただけるとのことで、多くの方に私の留学生活を知ってもらえる機会になればと願っています!私自身も留学前にこのサイトをよく訪れ、夢や妄想を膨らませていたので(笑)、このレポートを読んで少しでも留学や国際交流に興味を持ってくれる方がいれば大変嬉しいです。極力詳しく伝えたいと思ったため、長文ですが、ぜひ最後までご覧ください!


アメリカでの生活

 渡米してから3ヶ月以上の月日が流れました。実は、まだ3ヶ月しか経っていないのかという感覚です。正直な気持ちを書くと、特に独りになったときに日本の家族や友人が恋しくなります。出発前に学校の友達と留学について話した際、渡航後3ヶ月が最もモチベーションが下がったり日本の家族や友達に会いたくなったりする時期らしいと言っていました。彼女も来年の春に10ヶ月の留学を控えていて、オリエンテーションで留学生の気持ちの変化のグラフを見たそうです。それによると、渡航後3ヶ月が最も落ち込みますが、半年を超えたあたりからは急激に上がり始め、折り返してからは帰国したくないほど楽しく過ごせる留学生が多いとのこと。私もそうなれるように自分なりに頑張っていますし、この1年が人生においてかけがいのない経験になると確信しているので、一日一日を大切にすることをモットーにして日々過ごしています。


コロラド(現地事前研修地)のホストファミリーと

フロリダのホストファミリーと

 少し寂しいとは言いつつも、私の留学生活は、今のところ客観的に見てとても充実していると思います。その理由は私が置かれているこの恵まれた環境にあります。まず通っている高校の授業はとても興味深く施設もきれいです。先生方は全員非常に親切で、時に配慮してくれつつ、時にハイレベルなことを求めつつ、いつも私をサポートしてくださっています。またホストファミリーは常に私に様々な経験を積む機会をもたらしてくれます。毎週末色々なお店やイベントにファミリーと一緒に行っています。そしてこのフロリダという地域は、気候はもちろんのこと、人も皆あたたかくて、この3ヶ月自分が差別をされたり、差別の現場を見たりしたことは一度もありません。治安も良く、都会と田舎が程よく混在していて、受入団体の方々には本当に良い地域を選んでいただきました。友達も増え、英語力の伸びも感じてきて、中身の濃い毎日を送っています。ここからは、学校生活やホストファミリーと過ごす時間について詳述していきたいと思います。


学校生活

 最初に学校生活についてです。私の学校では6つ授業を選択できるのですが、留学生に適用されるルールとして、English, U.S. History, Governmentは必修というものがあります。そこで、私はそれら3つに加えて、Psychology, Team Sports(PE), Yearbookを選びました。Psychologyは面白そうだったというのと、日本の高校にはない授業だという理由で選択しました。PEは友達を作るため。Yearbookはアメリカならではの授業ですし、そういったものを作るのが好きなので選びました。

 一つ一つの授業について詳しく説明すると、まずEnglishは日本でいう国語の授業に似ています。断続的にやっていることは、日常生活であまり耳にしない難しい語彙を習ったり、コロンやピリオドなどの記号の使い方に触れたりなどといったことです。授業の主な内容は、1ヶ月ほどかけて1つのテーマについて学び、そのテーマに関する様々な素材を駆使して知識を深めていくといった感じです。例えば、少し前まではピューリタン文学が学習テーマだったのですが、ピューリタンがどのようにしてアメリカに渡ってきたのかについての文章を読んだり、渡米したピューリタンらが引き起こしたセイラム魔女裁判についての映画(The Crucible)を観たり、実際に魔女裁判を経験した女性の詩を読んだりしました。時々独特な表現が出てくることがあり、そのようなときは理解するのに苦労しますが、辞書とインターネットを駆使しながら頑張っています。課題ではほぼ毎回満点を貰っています。



 U.S. Historyは、一言で表すととても楽しいです。歴史を学ぶことが大好きなので元々期待していた授業です。Englishの授業と少し似ていて、定められたテーマに関して教科書の該当部分を読んだりビデオを観たりと、様々な方法でアプローチしていきます。これまでに南北戦争や第二次産業革命を勉強しました。既に持っていた知識と繋がったときは最高に面白いです。Governmentは興味深いのですが、最もハードな授業です。アメリカの政治や政府組織についてとことん詳しく学ぶので、情報量が多く、語彙も難しいです。日本の政治の仕組みについての知識があまりない状態でこちらに来てしまったのが悔やまれますが、帰国したら日本とアメリカの制度の違いを多角的に考察してみたいと思っています。PsychologyもGovernmentと同じく語彙が難しいのですが、とても興味をそそられる内容ですし、習ったセオリーなどに対して自分で日常生活に当てはめて考える機会が多く、お気に入りの授業の1つです。

 PEでは狙い通り(笑)、友達がたくさんできました!座学の授業では個々で取り組む課題が多いので、なかなか友達ができないのですが、PEではスポーツをすることよりも皆で関わりあって楽しむことが主な目的とされている印象を受けます。具体的には、毎週火曜日はフットボールコートでただ歩くか走るだけの日なのです。初めてそれを経験したときは驚きましたが、友達と1時間まるまる話すことができるので、今ではとても好きな時間です。火曜日のこの時間を通して英語も上達したと思います。火曜日以外の日も、基本的に先生は介入せず、生徒たちの好きなようにバレーボールやバスケットボールをしています。日本の体育の授業とはまるで違います。

 そして最後に、Yearbookでは、全体のテーマを決めたりそれに合わせたテンプレートを作ったりするところから、掲載する写真を撮ったり、制作資金を集めるために飲食店や企業に広告を売ったりするところまで、全て生徒たちでやります。1年の最後に完成した時には、非常に達成感があるだろうなと今から想像してしまいます。その一方で、携帯を触ったり、他の授業の宿題をしたり、スナックを食べたり(教室内にある倉庫に皆が持ち寄ったスナックが常に置いてあるのです…)、カフェテリアで買ってきたランチを食べたりなど、基本的に何をしても良いという非常に自由なクラスでもあります。この自由度にも最初は戸惑いましたが今ではすっかり慣れてしまいました(笑) 以上が授業の概要です。


 そして放課後のアクティビティとして、カラーガードというものに所属していました。過去形なのは、もうシーズンが終わってしまったからです。今は次のタームのクラブを探しているところです。カラーガードは、フットボールの試合中にスタンドでポンポンを持ちマーチングバンドの演奏に合わせてダンスをするチアリーダーのような役割と、試合後にフラッグでパフォーマンスをする役割を持っています。フラッグのパフォーマンスがメインなのですが、私が学校に通い始めたとき既にフォーメーションが決まっていたので、フラッグのパフォーマンスに参加することはできませんでした。しかし試合があるときは、放課後も学校に残って友達と学校の迎えにあるアイスクリーム屋さんに行ったり、衣装やメイクアップなどの準備をしたりして試合開始まで過ごし、実際の試合ではスタンドでポンポンをもって踊りました。友達も多くでき、アメリカならではの経験を沢山することができて、とても楽しかったです!!

 話が逸れましたが、学校の授業全体を通して特に感じることは、やはりその自由さと、暗記の必要性がないところです。自由さについては、先述したYearbookやPEのクラスではもちろんですし、その他のクラスでも携帯やスナックが許可されている場合があり、アメリカンだなとつくづく感じます。暗記の必要性の無さというのは、具体的にはテストが全て選択式であったり、授業の際に取ったノートをテストのときに見てもよい場合があったりするところです。テストの結果よりも、テストに至るまでの勉強や、テストの問題に頭を悩ませるプロセスにフォーカスが当てられているように感じます。これも日本の授業と大きく異なるなと思う部分です。



 ここまで授業について書きましたが、学校でのイベントについても触れたいと思います。この3ヶ月で1番大きかった行事は何といってもホームカミングです。ホームカミングウィークには、主なイベントとしてパレード、フットボールゲーム、ダンスパーティーがあり、全て参加しました。まずパレードでは、様々なクラブ、チーム、クラスが自分たちの集団を表現したり宣伝したりするためにフロート(大きなトラックのようなもの)を作って学校周辺を練り歩き、その出来栄えを競い合いました。私はYearbookのクラスの一員として参加したのですが、先生の自宅へ行ってフロート作りを手伝ったり、パレード本番では観に来た一般の人たちに“Please buy a yearbook”と呼びかけながら宣伝のカードを配ったりしました。Yearbookのフロートは全体3位を取ることができたので嬉しかったです!そして、フットボールゲームにはカラーガードとして参加しました。またダンスパーティーにはPEのクラスでできた友達と一緒に行き、大音量の音楽に合わせて踊ったり、お喋りをしたり、食べ物を楽しんだりととても素敵な時間を過ごせました。アメリカのスクールで開かれるパーティーにずっと憧れていたので、参加できて本当に嬉しかったです!また、メイクアップをしてもらったり、バッグなどの小物を貸してもらったり、ホストマザーに沢山助けてもらいました。髪のセットやパーティー前の写真撮影は友達とその家族が一緒にやろうと誘ってくれて、夕食もご馳走していただき、それもとても良い思い出になりました。


作ったフロートと Yearbookのクラスのメンバー

ホームカミングダンスの前、友達と 公園へ写真を撮りに行きました

友達作り

 学校での友達についてですが、先述の通り、PEのクラスで多くできました。他にも、カラーガードを通して仲良くなった友達や、近所に住んでいて毎朝同じ停留所からバスに乗っている友達もいます。留学前オリエンテーションでお会いしたOB・OGの方々や海外経験のある友人らから、日本のお菓子が人気だと聞いていたので、家族に沢山送ってもらってお菓子を通じて仲良くなるきっかけを作ろうとしました。そうすると、相手もアメリカで人気のあるお菓子をくれたり、中には私の好きなキャラクターのキャップや手作りのブレスレットをプレゼントしてくれたりする子もいて、とても嬉しかったです。


ホームカミングダンスの時のPEの友達

ホストファミリー

 ここまで学校でのことについて触れてきたので、ここからはホストファミリーとの交流について書きたいと思います。ホストファザーは海軍に勤めていて、私もその恩恵に預かる機会が多いです。例えば、軍の基地内にあるスーパーマーケットやレストランに行けたり、色々なお店でミリタリーディスカウントを受けられたりします。先日は基地で開催されたエアショーを観に行き、それは軍の関係者だけでなく一般の人も観覧できるものだったのですが、優遇された環境で観ることができました。ですが、私が感じている、軍に勤めている家庭に受け入れていただいた最大の長所は、軍ならではの話が聞けることです。ホストファミリーは昨年まで10年間日本に滞在していたそうなので、その際ホストファザーは日本の防衛にも深く関わっていたとのことでした。そして、日本国内の米軍基地の様子についてや、当時の暮らしぶりについて、ホストマザーから沢山のことを聞きました。正直、これまで米軍の存在を身近に感じたことは全くなかったのですが、日本はアメリカに守られていること、軍という組織の強大さをこちらに来てから肌で感じています。武力の有無はアメリカと日本の大きな差異の1つだと思うので、これからもそのことについて様々な点から学び、帰国した際に自分の思考に活かしていきたいです。



 ホストマザーは日本人の方で、納豆や梅干しといった日本食を手作りしてくれたり、日本人のコミュニティに沢山参加させてくれたり、自身の高校・大学時代や就職活動の話をしてくれたりするお陰で、家族や友人が恋しくなることはあっても、日本自体が恋しくなることは滅多にありません(笑)。日本人のコミュニティというのは主に2つあり、私のホストファミリーと同じく「海軍に勤めているアメリカ人男性と、その奥さんの日本人女性と、その子供」という家族がいくつか集まったコミュニティと、ホストシスターの日本語学校関係のコミュニティです。こういったコミュニティの中でパーティーが開かれるときは、常に英語と日本語が入り混じった状況になるのですが、2つの言語を使うことができる嬉しさを実感することができ、パーティー自体だけでなくそういった面でも楽しいです。またこちらで会った日本人の方々は皆さんとても親切で、私のことを応援してくださいます。普段から日本とアメリカの境界線に立って生活されているため、交換留学生という立場の私に親近感を抱いてくれているのかもしれません。将来は日本だけでなく世界を視野に入れて仕事をしたいと考えている私にとって、実際にこうして海外に暮らしている日本人の方々と多くお会いできることは、とてもよい経験になると思います。ホストシスターとホストブラザーの存在も兄弟のいない私にとっては新鮮なことばかりで、困惑することや大変なこともありますが、彼女たちのお世話を通じて貴重な経験を沢山積ませていただいています。




 私の留学における他の留学生との最大の相違点は、家で日本語を話している点です。正直に言うと、そのような環境で学校に通うことに最初はかなり不安を抱えていました。当然ですが、学校で日本語は全く通じません。しかし私は他の留学生に比べ家の中で英語に触れる時間が圧倒的に少ないです。授業にきちんとついていけるのか、友達とコミュニケーションが取れるのか、様々な悩みがありましたが、与えられた環境下で頑張ることが交換留学の指針です。気持ちを切り替え、ホストファザーや友達と積極的に話す、英語のコンテンツを視聴する、またコロラドに滞在していた時は日本人の友達ばかりでなく極力アメリカ人の友達と会話をするように心がけました。その結果、学校に通い始めてから2ヶ月後には、授業や日常生活で英語に困ることはほとんどなくなっていました。英語の上達という意味では私の状況は不利ですが、その点さえクリアできれば、日本食を日常的に食べることができたり、文化の差異を身近に感じることができたり、他の留学生にはないメリットが沢山あります。この環境を最大限生かしながら、多くのかけがえのない経験を積み、帰国時、大きく成長した自分で家族や友人に再会できるよう、これからも頑張っていきたいです。


近くで開かれたフォールフェスティバルにて


(文章・写真 2022年アメリカ派遣 井上咲春さん)

 

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​EILの正式名称は「Experiment in Intertnational Living」このサイトは、EILのプログラムを通じて国際交流体験をした人たちを「Experimenters」と称し、その体験やその後にどう活かされたかを紹介するEILのウェブマガジンです。

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