~EIL派遣生が見たコロナ禍の世界~第1回 スウェーデン派遣生C.T.さん

最終更新: 10月26日

世界を震撼させた新型コロナウイルス。

その影響はあらゆる分野や人々に広がっており、EILのプログラムを通して海外で学ぶ留学生たちも、大きな影響を受けました。


一年間の交換留学プログラムで2019年夏に出発し、現地滞在中だった留学生たち。

3月時点で、一部の派遣国の受入団体にて、継続的な安全確保が難しいとして、プログラムの中止が決定されました。

それ以外の派遣国に派遣されていた生徒たちについても、EILとしては早期帰国を推奨する通知を行いました。

しかしながら、急速に感染が拡大した都合で、派遣国内に行動制限が敷かれて空港まで移動できなかったケース、空港のある都市部への移動や空港、復路の飛行機内での感染のリスクがあると判断されたケースを含め、一部の派遣生および保護者は受入団体およびホストファミリーの合意もと、留学を継続する選択をされました。

留学継続を選択した留学生には、EIL職員が現地状況の情報収集に努め、定期的なヒアリングを続けながらサポートを行い、無事に全員が帰国を果たしました。


Experimentersでは、期せずしてコロナ禍を海外で過ごした派遣生たちに、それぞれの体験について聞きました。

マスメディアの報道では見えてこない、 実際に留学生が体験した、各国の人々のコロナ禍の暮らしの様子を、ぜひ読んでいただければと思います。


第一回目は、独自の政策を取ったことが話題となったスウェーデンに派遣されたC.Tさんからの報告です。

滞在地域の様子の変化について教えてください。 いつ頃からどんな風に変わりましたか?何か行動規制はされましたか? 私の滞在先では、1月に国内での感染者が報告され状況が変わり始めました。人々がコロナウイルスの脅威を実感し始めて、他国の感染状況やロックダウンの話などが頻繁に話されるようになりました。

実際の生活が変わり始めたのは、3月に入ってからです。50人以上の集会が禁止され、老人ホーム訪問の禁止、大学と高校の閉鎖という対策がとられました。しかし、中学校と小学校は引き続き開放されていました。それ以降もスウェーデンではロックダウンされることなく、比較的緩和な対策がとられました。カフェや街のお店は、通常通り営業されていて行動制限はありませんでした。ただ、カフェでは1席開けて座るようにされていたり、一度にお店に入れる人数を制限されていたり、試着室が閉鎖されていたりしました。

(写真)ソーシャルディスタンスをしっかり取った、ホストのおじいちゃんのバースデーパーティー

学校生活に変化はありましたか? 私の高校だけは町の中で唯一、3月いっぱいまでは学校を閉鎖せずに3年生だけが学校に通い1、2、年生はオンライン授業をしていまいした。しかし、4月に入ってからは3年生もオンラインの授業に切り替えられました。

主な変化としては、プレゼンテーション型やディスカッション型の課題がエッセイ型に切り替えられました。クラスメイトとは会うことができなかったのでオンラインで電話しながらランチを食べていました。ただ、先生との面談や閉鎖前の試験を欠席した人は日時をを予約して学校に行っていました。

コロナ禍で感じた国民性について教えてください。「その国らしさ」を何か感じましたか? 私は、政府の対策と国民の意識の高さにスウェーデンらしさを感じました。スウェーデンの対策として、ロックダウンを行うことなく自由な経済活動を継続させるという、他国に比べると非常に緩和な措置をとりました。これは、国のあり方を象徴していました。スウェーデンでは公的機関は政権から独立しています。今回の対策は、公衆衛生庁が知識と専門性に基づいて合理的な判断を行いました。私は、この体制に対してとても信頼性があると感じていました。論理的で科学的な根拠に基づいた説明責任を持ち、対策をとっている事が分かりました。これに対し、他国からは国民を使った人体実験を行っているといった激しい批判がありましたが、国民の意識が高いスウェーデンだからこそ実行できたのだと思います。

学校では、友人たちとコロナとはどのようなウイルスなのかや、各国の対策についてよく話していました。政府からの勧告やテレビからの情報に限らず、自主的に様々なソースから情報収集を行い雑談の場でお互いに共有していました。6月9日に発表された市民緊急事態庁の調査によると80%は公民衛生庁の勧告に従っていたそうです。又、福祉国家ならではの手厚い保障もありました。社会保障費負担の軽減や減税、家賃の半額負担などを企業向けに行いました。しかし、老人ホームや移民の方々の住む集合住宅地でクラスターが発生し、感染者や死者が増えている現状があります。

コロナ禍で留学を継続することに不安はありませんでしたか?

決断までに誰とどんな相談をしましたか?

もちろん、不安はありました。スウェーデンの国民ではないので実際にコロナにかかってしまった時の医療手当をちゃんと受けることができるかという不安や、日本の家族や親族に何かあったときにそばにいることが出来ない可能性があること、コロナ禍であるのにもかかわらず、残る選択をすることでホストファミリーに負担をかけてしまう恐れがあること、学校にも行けずオンラインの授業なのに滞在する意味があるかなど様々なことを考えていました。このようなことを、日本の両親とホストファミリー、知り合いの留学生たちに相談しました。父に、スウェーデンでの感染状況やこれから予想される事態を調べて、最終的には自分で意思決定をするべきだとアドバイスをもらいました。とても難しい決断でしたが、結果的にホストファミリーが継続して受け入れる事を承諾してくれたので残る決断をしました。自分で下した決断だったので、一層自己責任を持って何よりも健康に生活することに気を使いました。今、振り返ると残る選択をしてよかったなと思います。


(写真)無事参加することができた卒業式。





コロナ禍を海外で過ごした感想を教えてください。

想像していた留学生活とは違うイレギュラーな事態となり、様々な事がありましたがスウェーデンの対策や国民の対応から、実際に国がどの様に機能しているのかを実感する良い機会になりました。この時期に海外にいたことで、日本の対策や他国の対策と照らし合わせ、国民性や文化の違いがどのように人々の生活に影響するのかを学ぶことができました。

また、両親と離れていたことで自己責任を持って行動し、自立する機会になりました。スウェーデンの人たちの論理的で合理的な対応からは、学ぶことがたくさんあります。感染には最大の注意を払いながらも、幸せな生活を継続していました。日本にいたら、毎日マスクをして、人口密度の多いために感染の怖さを感じていたと思いますが、スウェーデンにいられたことでハイキングに行ったり、ホストファミリーの家の広い庭で勉強できたり、長閑な自然に囲まれて幸せな時間を過ごすことができて嬉しかったです。テレビの情報のみではなく、自主的に様々なソースから情報を収集して、他人と共有し、自己判断を行うというスウェーデンの人たちのあり方は何に対しても重要であると思います。これから日本で生活していく中でも今回スウェーデンで得たことを生かしていきたいです。



(写真)森の中をハイキング


(写真・文/2019年度スウェーデン派遣生 C.T)

いかがだったでしょうか?

次回は、スペイン派遣生、H.Oさんからの報告をお伝えします。


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EILのプログラムを通して、国際交流体験をしてきた人たちの、その体験、

そしてその体験がその後にどう活かされたかを伺いました。

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