【高校生交換留学体験談】M.Mさん(カナダ派遣)

EILの奨学金制度の一つ、「EIL留学生奨学金」は、派遣国において交換留学生としての活躍が期待される生徒のための奨学制度です。奨学生の皆さんには、プログラム終了後に体験談を提出いただいています。


本日は、2019年度冬出発の奨学生に選ばれた、カナダ派遣生M.Mさんの留学体験談をご紹介します!

 はじめに、EIL奨学生に選出していただき、本当にありがとうございました。また、EIL様のサポートのおかげで、安心した留学生活を送ることができました。心より感謝申し上げます。


 私は2020年1月31日に、1年間のカナダでの生活を終えました。長いようで短く、楽しいことも辛いこともあり、でも思い返してみればやっぱり、一つひとつが充実していた留学生活でした。現在は帰国後1ヶ月が経過し、日本での生活に馴染んできました。しかし、未だにカナダが恋しい気持ちはずっと変わっていません。時々、涙が溢れるほどにカナダでの生活を懐かしく思うことがあります。

 家族の元を離れ、今までとは異なる環境下で新しい人々の支えを受けながら生活する中で、私は様々な面で大きく成長できました。英語力だけでなく、表現力、思考力、行動力、自己肯定力、など一人間としても、です。英語に関しては、帰国直後に受けたIELTS7.0(overall)という数字に表れています。特にスピーキングは8.0と、自分の想像以上の結果を残すことができました。カナダという、自分が心から好きだと思えた環境で勉強できた楽しさ、そしてそれに伴った成長は、日本にいては絶対に体験できないものであったと思います。


 これから、私が1年間を通して気づいたこと、心がけていたこと、学校での学習の成果の3点についてまとめます。

 まず、日本人の「shyness」と「会話能力のなさ」についてです。

 日本人が留学する際の問題は、この二つが特に大きいと思います。英語はしゃべれないけど明るい性格の人、逆に英語はしゃべれるけど内気な人などタイプはいろいろです。私は前者が断然有利だと思います。明るいと友達ができやすく英語を話す機会が増えます。

 私の友人は、来た当初は全くといっていいほど英語がしゃべれなかったのですが、体育のクラスでたくさん友達を作り、今ではネイティブと楽しく会話しています。もう一人の女子は、先に挙げた女子よりも英語は上手かったのに、スマホばかり見ていて、あまりしゃべらず、学校も休みがちで、日本人と遊び回り、英語力が伸びているようには見えませんでした。

 私は留学前の1年間毎日欠かさずオンライン英会話を続けた経験があり、最低限+αの会話はできていました。実際に現地の人たちからはしばしば「英語をしゃべるのがすごく上手いね」と言われ、どんどん自信をつけていくと同時に、向上心が生まれたのを覚えています。

 とは言っても、ことばの面で困ることが、特に最初の時期は多々ありました。友達を作るためにカナダ人に話しかけ続けはしていても、カナダ人同士の会話では理解が追いつかず仲間に入れなかったり、授業では完全に理解ができなかったり、聞き間違えたり。心が折れそうになったこともありました。

 その状態が劇的に改善されたきっかけは、1ヶ月後に仲良くなったカナダ人の友人、アナイスでした。同じ授業こそ取っていなかったものの、家が近所で同級生ということもあり、登下校、昼食、放課後を一緒に過ごすようになりました。今までは一人で過ごしていた放課後でしたが、毎日カナダ人と遊ぶことで楽しいだけでなく会話量も増え、自分の成長が肌で感じられました。アナイスを通じて友達の輪も広がりました。彼女とは今でも頻繁に連絡を取り合っています。

 夏季休業中には、いただいた奨学金を活用して、トロント大学の国際キャンプに参加しました。その後、カナダに来て6ヶ月後に自分の伸びを測るためにIELTSの試験を初めて受けました。結果は総合6.5と想像を遥かに上回り、自分の英語が伸びていることが確認できました。


 次に、私が一年を通して心がけていたことを挙げます。

「日本人とは最低限のことしか関わらない」

日本人とかたまっていると、カナダ人の友達をつくる機会が減り、モチベーションも下がり、カナダ人からはあまりいい印象を受けないだろうと思いました。

「日本人と会話をするときも英語で話すこと」

これは自分のなかで誇れるポイントです。というのは、これまで1年間でface to faceで日本語を話した時間は合計で1時間にも満たないと思います。日本人に関しては、日本語で話しかけられても英語で返すと相手も察してくれ、英語で話すようになりました。

「失敗を恐れないこと」

授業中でも日常会話でも、思ったことはすぐに口に出すようにしていました。間違った意見でも笑われることはなく、みんな助けてくれます。質問をしたら詳しく教えてくれます。この心がけで、英語を伸ばすことができました。

「たくさん話しかけること」

これは最も意識して行動した点です。友達作りは、上にも述べたように苦労しました。幼稚園から仲のいい人は決まっていたため友達作りが上手いわけではないうえ、英語力もネイティブに満たず、最初の数日間はどうしようか、と途方に暮れていました。でも覚悟を決め、実にたくさんの人に話しかけまくりました。授業で一緒の子はもちろん、ロッカーが隣の子にも、校内で見かけた子にも、「髪の毛、素敵だね」「そのドレスかわいいね、どこで買ったの?」など、たわいもないことを、口に出しまくりました。道ですれ違って目があった人には必ず、”Hi! How are you?”と挨拶することも決めていました。

「英語を話す機会を増やすこと」

これは上で述べたアナイスの話につながります。近所に住むアナイスと思った以上に仲良しになり、ホストファミリーがいなくて英語を話す環境にない時は、その子の家ですごすようになりました。英語の宿題を教えてもらったり、数学の宿題を教えたりしました。部屋で、テレビやスマホや音楽に多大な時間を費やすのは楽かもしれませんが、無駄だと思います。

「笑顔でいること」

辛いことがあっても、それは隠して、人前では明るく笑顔でいるようにしました。これができないと留学は失敗すると思います。また、それがどうしても辛い時、頼れる相談相手の存在はとても大切です。しかし、日本の家族や友達にはどうすることもできない上、自身がホームシックになる可能性があると思います。やはり、友達づくりは肝心です。

 これらのことは、留学先に到着したばかりの頃から最後までずっと心がけ続けていました。自分に自信のなかった私ですが、自分で決めことを曲げずに貫き、結果大きく成長できたことで自分の可能性を知れたような気がします。

 

 最後に、カナダの学校で選択した授業についてです。

 私の学校では一学期につき4教科が選択でき、毎日同じ授業を受けます。私は、一学期目に英語“を”学ぶ授業を、二学期目に英語“で”学ぶ授業を選択しました。具体的に、一学期目には①ESL (English as a Second Language)、②日本にはない写真学、③予備知識のある数学、④コミュニケーションを頻繁にとる体育を選択しました。二学期目には、同学年(高校二年生=Grade 11)の①人類学・心理学・社会学、②アメリカ史、③英語、④スペアを選択しました。スペア以外は全てAcademic、つまり最高レベルのものでした。スペアとは、Grade11と12の生徒が難しいクラスを撮る際に、空き授業時間をわざと作って、3教科を集中的に勉強するための“クラス”です。

 先に二学期の最終成績を言っておくと、100%中、①100%(人類学・心理学・社会学)、②85%(アメリカ史)、③85%(英語)でした。80%以上の成績はLEVEL 4と言われ、カナダ人なら大学進学の際に奨学金がもらえる成績です。それを全て上回ることができました。理由は、私の中で明らかです。私は、これら後期の授業全てを楽しんで学ぶことができました。元々は挑戦として取ったクラスばかりでしたが、実際受けてみると能動的な授業はとても面白く、授業にも課題にも自然と時間を割くようになったのです。

 これらのクラスでは、エッセイ、ディスカッション、プレゼンテーション、リサーチペーパーなど、大変な準備が必要な課題も多くありました。例えば、人類学・心理学・社会学では、授業と並行して55ヶ月間かけて一人ひとりがトピックを選んでリサーチを行いました。教科の特性から、ただ文献で調べるだけではなく自分自身で実験や調査を行う必要があり、他の教科の課題と並行しながらするのに苦労した時もありました。私は、World Happiness Report 2019の世界幸福度ランキングでカナダが9位、日本が58位だったことに目をつけ、「なぜカナダ人は日本人より幸せなのか」という問いを立て、5つの仮説(それぞれ、教育制度・社会人の働き方・自己肯定力・第一言語の違い、自然の豊かさや災害、が幸福度に影響しているのではないか。)を検証するために、日本とカナダ双方の高校生二年生50名にアンケートをとりました。結果は全ての要素が幸福度に影響しており、特に「自己肯定力」でカナダ人が日本人を大きく上回りました。

 このように、工夫をしながら自分の興味のあることを突き詰めた結果、先生から太鼓判をいただき、プレゼンテーションもクラスに好評で、成績表では満点をいただくことができました。

 日本の高校では、受験勉強に意識が向いてしまうせいで「学ぶ」ことの楽しさを忘れてしまっていました。実際私の周りにも、自分を含め、テストの点や偏差値を気にしてしまう人たちばかりです。しかし、「学ぶ」ことは楽しいことで、自分が興味のあることを追求することがどれだけの成果を生むのかということを、身をもって感じることができました。

 また、日本では学歴が重視されますが、カナダでは自分の「探究心」や「好み」が優先されているように感じました。例えば、私の友達は終業式で成績優秀者として表彰されるくらい非常に優秀だったのですが、高校卒業後は専門学校で土木業を学ぶと言っていました。小さい頃から、お父さんと物作りをするのが好きだったようです。他の友達も、大学のランキングなどは一度も見たことがないし、気にしないと言っていました。日本と違った考え方に衝撃を受けると同時に、教育の本来あるべき姿を見たような気分になりました。

 このように、私の留学生活は、主観的に見ても、客観的な数字で見ても、非常に実りのあるものでした。自分でも、ここまで成長できたことが信じられません。私は、中学校一年生で、周りと同じように、または少し遅れて、英語を学び始めました。英語はずっと得意教科でしたが、高校一年生の夏休みに参加した国際キャンプで自分の英語が実践の場で全く使い物にならなかったことにショックを受け、オンライン英会話を始めました。私にとって、毎日欠かさず続けたオンライン英会話は手段、留学は目的(夢)でした。しかし留学を終えた今は、それすら将来に活かすための手段や活力となっています。大学では、リベラルアーツを修めた後に大学院で教育学を学び、将来的には日本の教育を変えたいと思っています。

 留学での最大の利益は、英語の習得ではないと思います。最低限の英語力は事前に身につけておくべきもので、その後の英語力は努力に伴って伸びていきます。一番大きいのは、日本と違う環境や考え方を体験できること、壁に当たったときに乗り越えて成長することだと思います。私は、この経験を将来に生かすだけでなく、他の人にもシェアしたいという思いが強くあります。というのも、私の学校では交換留学が全く盛んではないのです。既に英語科主任の先生と話をして、新学期には生徒たちの前でプレゼンテーションを実行できそうです。私の成長が自分だけでなく周囲の人たちの将来に役立てば、これ以上に嬉しいことはないです。

 


 繰り返しになりますが、この留学前後を含めた約1年半を通して支えてくださり、本当にありがとうございました。またOGとしてお世話になることがあると思いますので、よろしくお願いいたします。

(写真・文/2019年度カナダ(冬出発)派遣生 M.M)

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そしてその体験がその後にどう活かされたかを伺いました。